ぽんこっぅ

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1/21/2025, 12:53:52 PM

俺は旅人だ。行く宛てもなく風の向くまま気の向くままに旅を続けている。
一応どこに居ても方角だけは見失わない様に羅針盤を持っている。
懐中方位磁石はすぐに壊れてしまって当てにならないので、ちょっと高価でも鞄に収まる程度の羅針盤が自分には合っているのだ。

今は北西方向に進んでいる。道すがら会った人にこの先に美味しいうどん屋があると聞いてそこを目指しているのだ。
それにしても、先程からやたらと北風が強く吹いている。まるで服を吹き飛ばそうかとしている程度だ。
早いとこうどん屋に辿り着かなくては凍えてしまいそうだ。
そう思っていると次はいきなりの日照りで暑くなってきた。異常気象か?
(羅針盤)

北風と太陽のオマージュ、羅針盤は方位磁石よりナビゲーションシステム向きだそうな。

1/20/2025, 12:41:12 PM

誰に何と言われようと俺は穴を掘り続けた。
飼い犬にここ掘れワンワンと言われてから今までずっとだ。
もう何回目の冬を越えたか数えるのも飽きた。
未だに何も出ないがそれでも掘る。
明日には何か出てくるかもしれない。
明日へ向かって掘る。明日へ向かって歩く。明日へ向かって…
でも、実際のところ分かってはいるのだ。これがもう無意味だということを。
(明日に向かって歩く、でも)

花咲かじいさんのオマージュ、ここ掘れワンワンから数年掘り続けているバージョン。

1/19/2025, 12:09:27 PM

何件も何件も訪ね歩き条件を満たす女性を探して巡っている。
ただひとり見つけるのにこんなに苦労するとは思っていなかった。
手掛かりはガラスの靴ひとつ。
ピッタリ合う女性が見つからない限りこの仕事は終わらない。
前任者は途中で過労の為倒れてしまったと聞いているが、確かにこの仕事はストレスも半端ない。
ガラスの靴は豪勢な装飾を施したクッションの上に置いてそのクッションを直に持っているのだ。少しのバランスの崩れもつまずく事も腕を下ろすこともしてはいけない。もちろんガラスの靴が割れでもしたら即刻死刑だろう。前任者は倒れた時、運良くクッションのおかげで靴は割れなかったらしいが。
とにかく、自分が言いたい事は「ただひとりの君へ、自分から名乗り出てくれ」という事だ。
(ただひとりの君へ)

シンデレラのオマージュ、探している側の本音の叫び。

1/18/2025, 12:00:58 PM

大きくなれ大きくなれと複数回打ち出の小槌で叩かれた。
もっと早く気付くべきだった。
1回の打ちで1x1で2倍、2回目の打ちで2x2で12倍3回目の打ちで3x3で184倍、4回目の打ちで4x4で88512倍、5回目の打ちで5x5で、、、そうだ、組み合わせ計算爆発だ。
□のマスを並べて同じ道を通らないように対角に移動出来るルートを計算していく人智を超えた計算だ。
その爆発的に増える倍化が起きている。

打ち出の小槌の効果の処理が間に合わなかったのか効果が出るまでのタイムラグがあったことも原因して連打された為、身体は地を踏み抜き、宙へ突出し、おそらく宇宙の果てであろう人智を超えた空間に浮き、手のひらに宇宙を支えている。
この手のひらの宇宙は徐々に小さくなっていっている。いや、違う、まだ自身が大きくなりつずけているのだ。
キャンセルの効かない打ち出の小槌の効果はいつまで続くのだろうか。
(手のひらの宇宙)

一寸法師のオマージュ、組み合わせ計算爆発も1種の宇宙と言われる程度に人智を超える。11x11以上は現在も計算しきれていないそうだ。

1/17/2025, 12:56:42 PM

「常人にはなんて事ない微風でも私にとっては踏ん張らないといけない程度の強風に感じるのよ」と、手のひらの上で小さな小さなお姫様が文句を言っている。
微風どころか、風は一切感じていないのでどういう事か感覚が掴めない。
移動する為に手に乗ってもらった訳だが、もしかしたら移動時に起きる空気の動きを風と言っているのだろうか?だが、移動はしなければならないのでゆっくり歩く。
「ちょっと!そんなに早く動いたら風で髪が乱れるじゃない!!」
顔の両側にぶら下がる縦巻きロールは確かに所々解れ出している。
「貴方!!もっとゆっくりって!あっ…」
驚いた声がしたので安全確認の為に手のひらを見る。
そこには風でスカートがめくれて焦っているお姫様の姿があった。さすがにまずい。立ち止まって風が起きないようにする。
「貴方、今すぐ私を降ろしなさい。クビよ!!!!」
風のいたずらによって職を失った瞬間であった。
(風のいたずら)

おやゆび姫のオマージュ、スカートワァーオはさすがにクビだなぁ。

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