足り過ぎた贅肉

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12/14/2024, 12:12:21 PM

あわてんぼうだと自覚はしているが自分はまだまだ早いこの時期に仕事を行う予定区域へ向かうのが毎年の習慣だ。周りからは早すぎる奴とバカにされる様な声がかかるが気にしたことは無い。

最近は家を照らすイルミネーションも減ったなと、上空7000mを飛行するソリから地上を見下ろし少し寂しそうなため息をついていた。
今やイルミネーションは大きな施設や街路樹ばかりを照らし、ベッドタウンと言われる民家密集地にはところどころ点々とあるだけだ。
ソリの停留地や方角、現在地を調べる目印としていたイルミネーションが少ないせいで迷子になるソリ乗りが増えたと界隈のネットワークで言っていたなと思い出す。
自分の担当する区域はまだイルミネーションが多い方だが、代わりに紛らわしい光源も多く、そこは長年の勘と技術でフォローする。
ソリを前方に引く動力源のトナカイ達の制御を緻密にこなし停留地のイルミネーションへ高度を下げていく。
上空1000mまで降下した所で自分の間違いに気付いた。
この停留地イルミネーションは見誤った。
目の前に広がる空港の滑走路の誘導灯と街路樹のイルミネーションを見間違えた。
もっと昔のように分かりやすいイルミネーションが増えてほしいものだ。
(イルミネーション)

あわてんぼうのサンタクロースのオマージュ、イルミネーションを飾ろうか迷っているアナタ是非照らしてあげて。

12/13/2024, 2:51:45 PM

じっくりじっくりゆっくりコトコト愛を注いで煮込んだスープ。味見してみたけどなにか一味足りないような気がする。
塩分が足りないとか、煮込みが足りないとかそんなんじゃなくて、うーん。

でももう準備して行かなきゃいけない時間。
急いでスープを保温密閉できるポットに移し、スプーン3本、器を3つ籠に入れる。
おっと、朝焼いたパンも忘れずにね。
身支度整え荷物を持っていつもの道を足早に進む。
ポットの中のスープがちゃぽちゃぽ音を立てているけどこぼれたりはしてなさそう。

森の中のおばあちゃんのお家に着いてドアをノックする。
ガチャリと鍵が開く音がして中に入る。
奥の窓の下のベッドの上にはおばあちゃん。
鍵を開けたのは餌付け成功したオオカミさん。

おばあちゃんがテーブルに着いたらお昼のパンとスープを並べていただきます。
アレ?家で味見した時と味が違う。美味しくなってる。
そっか、3人一緒に食べるのが美味しいんだ。
3人の愛が注がれたテーブルだから美味しいんだ。
たっぷり食べてお昼寝して暗くなる前にまたあした。
(愛を注いで)

赤ずきんちゃんのオマージュ、平和な世界で愛を叫びたい

12/12/2024, 11:30:50 AM

私はガラスの靴で繋がったわね。
アタシは長い長い髪の毛かなぁ。
わたしは氷の魔法かしら。
ワタシは、うーん、あっ、1輪の花ね。
あたし、心と心で繋がるアイテムってないかも。

えー!!とみんなが驚く。

だってあたしの場合、毒リンゴと知らないうちにされたキスよ。いきなり過ぎてなんだかわからなかったもの。

あー、とみんなが今度は納得のため息をつく。

アイテムがなくても繋がってるならいいじゃないのって誰かが声を上げた。
うんそうね、そうだわ。とまたお姫様達のお喋り大会は続くのでした。
(心と心)

色んなお姫様達の集会、男性側と繋がるきっかけの話題が出ていたもよう。

12/11/2024, 1:20:27 PM

本当は大興奮で呼吸が止まりそうなんだけど、それを隠して抑えて何でもないフリをする。
遠くに見える男性にまだ届かない好意を抱き見つめる。
男性がコッチを見た気がする。
何でもないフリ何でもないフリと心で唱えその本当に見られているかも分からない視線から逃げるように陰に隠れる。
翌日になっても翌々日になっても思い出せばあの男性の姿に興奮を覚え、また何でもないフリをする。

やがてどうしても抑えきれなくなった興奮に負け、自身の声と引き換えに地上に出る為の身体を得た。
もう何でもないフリなんてしていられない。
早くあの男性に会いたい。
興奮の勢いはもう隠さずに地上を目指した。
(何でもないフリ)

人魚姫のオマージュ、好きな人を目の前に何でもないフリは出来ないよね。

12/10/2024, 12:51:20 PM

後ろを着いてくる仲間は徐々に減っている。
残った者は僅か8人しか居ない。
だが今は逃げる他手は無いのだ。
仲間を見捨ててでも。
後ろから追いかけて来るクマはその巨体のままに体当たりで仲間達を吹き飛ばし、更に速度を上げているように見える。
スタミナ勝負なんてできっこない。スピード勝負ももう負けている。
また1人仲間が吹き飛ばされ、宙を舞い自分が走る方向のその先にただの肉塊となって落ちた。
それを飛び越える。
クマはその肉塊を踏み潰しまた他の仲間を吹き飛ばす。

最後の仲間が吹き飛ばされ、その吹き飛んだ肉塊に足を取られ転んでしまった。
クマが目前まで迫る。
腰がぬけて立ち上がれない。
もうダメだと目を瞑り覚悟する。

が、クマの気配、鼻息はすれどなぜか攻撃されない。
恐る恐る目を開ける。
クマの口が目の前に突き出されていた。
その口からチラついて見える歯に見覚えのあるピアスが引っかかっている。
自分の片耳に同じ物が着いているはずだ。

恐怖のあまり思考が働いていないのか、アドレナリンが過剰に放出されていて恐怖を超えているのか、実際のところ分からないが、何故かクマの口に手を伸ばしピアスを取る。
そして無くなっていた方の耳に着け直す。

クマはそれを見届けるとフンッと鼻息を荒く上げ、仲間達の残骸の散らばった道へ戻って行った。
(仲間)

森のクマさんのオマージュ、仲間が減っていく恐怖の理由が落としたピアスってトラウマすぎるか。

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