ぽんこっぅ

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10/28/2024, 1:19:58 PM

丸呑みにされたのは一応救いだったのだろう。噛まれてたら助からなかったはずだ。
そして、暗がりの中には先客が居た。
先に飲み込まれていたおばあちゃんだ。
狼の胃の中はギュウギュウ詰めでかなり苦しい。
どうにかしてこの暗がりの胃から出なくては。

しばらくもがいていたら、いきなり光が差し込んできた。そして、6匹の子ヤギたちが押し込まれてきた。

暗がりの中でパニックになっている子ヤギたちと、諦めて寝ようとしているおばあちゃんに挟まれつつ、どうにか助かろうともがいていた。

その後色々あって、無事に暗がりの胃から出れた2人と6匹は狼の胃に石を詰め込み古井戸に突き落とした。
暗がりの中で狼がもがく声が響いてくる。
その声が漏れないように蓋を閉める。

全てが終わった頃、日は沈み辺りは暗がりに包まれていた。
(暗がりの中で)

赤ずきんちゃんと7匹の子ヤギに出てくる狼のラストシーンが同じだと気付き混ぜました。

10/27/2024, 12:02:26 PM

「正直に言って紅茶の香りは苦手よ。珈琲の方がいいわ。」
そう言いつつ、ティータイムの紅茶葉クッキーをつまんで口に運んでいる。
いくつ目かのクッキーを食べようかとしたところでちょっとした違和感に気が付いた。
クッキーを焼いた本人が一切食べてないのだ。
「どうしたの?自分で焼いたクッキーなんだから食べればいいじゃない。」
クッキーを相手に差し出すが、焼きたての味見で食べたからと断られた。
なら、と思いクッキーを食べ進める。
紅茶の香りの中に時折香るリンゴの香りが食をどんどん進める。
「ん?リンゴ?」
相手がようやく気が付いた?とでも言いそうな表情でこちらを見ている。
「あなたが私に食べさせた毒リンゴ、美味しかったわよ」
紅茶の香りがいっそう強く香った気がした。
(紅茶の香り)

白雪姫のオマージュ、生き返ったあとの復讐

10/26/2024, 1:03:46 PM

どうしても開かないこの岩の戸…
合言葉が違うのだろうか?必死に思い出そうとして色々言ってみる。
ひらけどあ、開かない。
ひらけいわ、開かない。
ひらけこしょう、開かない。
ひらけごま、開かない。
ひらけさとう、開かない。
どうしても開かないし、思い出せない。
ダメだ。ちょっと頭を整理しに歩いて来よう。

そんな盗賊達の様子を影から見ていたこの岩の戸を作った魔法使い。
「愛の告白のような、愛言葉を言わないと開かないようにして正解だったようだな。あんな盗賊達をあの岩の戸の先のチャペルに行かせる訳にはいかんからな」
(愛言葉)

アラビアンナイト(アラジン)のあの岩の戸が守る先はチャペルだったという話

10/25/2024, 2:16:28 PM

最近、乗馬を始めたんだ

久しぶりに会った友達がそう言った。
なんでいきなり乗馬?と思って理由を聞く。
どうやら最近読んだ本で、白馬に乗った王子様が出てくる物語があったらしく乗馬にチャレンジしてみる事にしたと言うのだ。

あわよくば物語の世界みたいに、ガラスの棺に入った女性を見つけて、なんやかんやあってハッピーエンドと思っていたんだけどね

と、若干不純な理由も聞こえたが、次の一言でその心配は無いことが分かった。

相棒の馬が綺麗で可愛いから、今は人間の女性見ても全然ときめかなくって

うん、変わりに変な心配事が増えた。
この友達はおそらく、また会った時には違う心配事のタネを持ってくるだろう。
(友達)

白雪姫の王子様に憧れて違う方向に進んだ人だった。

10/24/2024, 2:55:04 PM

以前、TVの企画で紹介されていて気になっていた飲食店を探して、その記憶を頼りに現地へ向かっていた。
その店は、ホームページはおろか、地図アプリにも店名を表示させておらず、正確な場所が分からないのだ。見つけれた人だけが店に入れるのである。
TVで建物外観の映像は映っていたはずだが録画等はしておらず、店のある地区名だけメモしてあったのだ。
っと、どこからともなくいい香りが漂ってきている。もしかしてとその香りを追って1軒の家の前に辿り着いた。
普通の民家の様に見えるが、玄関ドアの上に【Cafe・家猫屋】と看板がかかっていた。
ここだ。とドアノブを回す。
入った先はすぐ小部屋になっており、壁に【ココは気まぐれなカフェです。次のドアを開ける前に下にある名簿に氏名の記入をお願いします。】と書かれていた。
なんか、注文の多い料理店って絵本があったなと思いながら名前を書き、次のドアを開ける。

そこからの記憶は、あまり覚えていない。
気が付いた時には財布の残金が残っておらず、服は毛だらけで、手にはチュールの空袋が握られていた。
この文章を読んでいる者が居るのならば、家猫屋には行かないでと警告しておこう。全財産を失うかもしれない。猫好きなら特にだ。
(行かないで)

注文の多い料理店オマージュと見せかけて、ただの猫カフェだった。

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