「正直に言って紅茶の香りは苦手よ。珈琲の方がいいわ。」
そう言いつつ、ティータイムの紅茶葉クッキーをつまんで口に運んでいる。
いくつ目かのクッキーを食べようかとしたところでちょっとした違和感に気が付いた。
クッキーを焼いた本人が一切食べてないのだ。
「どうしたの?自分で焼いたクッキーなんだから食べればいいじゃない。」
クッキーを相手に差し出すが、焼きたての味見で食べたからと断られた。
なら、と思いクッキーを食べ進める。
紅茶の香りの中に時折香るリンゴの香りが食をどんどん進める。
「ん?リンゴ?」
相手がようやく気が付いた?とでも言いそうな表情でこちらを見ている。
「あなたが私に食べさせた毒リンゴ、美味しかったわよ」
紅茶の香りがいっそう強く香った気がした。
(紅茶の香り)
白雪姫のオマージュ、生き返ったあとの復讐
10/27/2024, 12:02:26 PM