泣かないで
泣かないで恋心よ…願いが叶うなら涙の河を越えて全てを忘れたい
いつかこんな歌詞の歌を聴いた。
泣いていた。
貴方を失ってもう二度と人を愛することも愛されることも無いとわかったから。
恋をする、あのときめきや切なさ。一途に見つめ、息が苦しくなるほどあなたを想った。
失うという事、もう二度と会えないということ。
自分の中のもう1人のふるえたままの自分に、慰めていた。
泣かないで…もう…泣かないで…と
泣く。それは甘えだろうか?
男が泣くんじゃない…大人のくせに泣くなんて…仕事で泣くなんて恥ずかしい…とか。
泣いてはいけないか?
平和と言われて当たり前の様に生きている。でも少し前同じ国で平和に憧れて命をかけてギリギリの中でかろうじて生きていた時代があった。
泣きたくても泣けなかっただろうと思われて、今、こんなことで泣くなんて恥ずかしい。でも平和な今こんな小さな事が自分の全てなのだ。
食べる事より家族の事より生活する事よりも、あなたを失って全てを失ったかの様に思えて途方に暮れている。泣かないで歩くしかないのだ。
泣きながらでも進むしか。
いつか、いつの日か晴れる日が必ず来る。時薬。だから…泣かないで。
冬のはじまり
春…私は何も怖いものはなかった
寂しかったけど、私を縛る何ものもなく自由だった。
夏…無我夢中で走ってた。
生まれて初めてのドキドキ、眩しすぎて熱かった太陽に身体中火傷して傷だらけになった。
秋…傷を癒やすすべも分からない、孤独は唯一の相棒。
せめて私に魅せて…。
鮮やかな赤、幸せの黄色、優しい緑
艶やかな自然の無情さ。冷たい風に刹那の彩りは儚くて。
冬…まだ始まっていないのに秋は冬と連れ立って来る。漆黒の闇に星は煌めいて、オリオンが顔を出す。
燻されたような香りが冬のはじまりを知らせてくれる。
もうすぐ厳しい冬が来る。もう思い残すことは無い。生きたいように生きやりたい放題、振り返れば反省と後悔が怒涛のごとく溢れてくる。
寂しいけれど幸せだった。2度と春に巡り合わなくても、それでも良いの。まだ冬のはじまり、私の冬は未だ始まったばかり。今年の冬は長くなりそうです。
終わらせないで
別れを言い出したのは私から。
この見えない鎖から解き放たれて自由になりたかった。
初めての男ではなかったのに、全て忘れられない。
あなたは寂しそうに笑った。
季節の替わり目に来るメール。
誕生日にお祝いのメール。
私は、嬉しいくせに全て無視した。
また、あの苦しい日々に戻る勇気はなかった。
何故愛することがこんなにも苦しいのだろう。
飲んでも飲んでも癒されない喉の渇き。求めても望んでも叶わない想い。本物の愛情ではないから?
私達は別々の道を歩き出した。
時々夢をみた。そんな時必ず側にあなたを感じた。わかっている。遠い何処かであなたも私を求めていることを。貴方が求めれば私は夢を見る。私が望めば心で思っただけなのに数カ月ぶりにメールが来る。元気か?と。
見えない何かでつながっている事、わかっている。あなたも私も。
終わりが近づきつつある私の人生。
忘れてしまった。
貴方の名前も顔も。なのに私を呼ぶ声が聞こえる。
…そうか?…と黙って話を聞きながら私を抱きしめる優しいひびき。
それすら忘れそうになる。
もう終わった遠い恋の思い出なのに
どこかで私を支えてくれていた。
いつも無意識に探している。似た人を追いかけている。
あともう少しだけ生きていようと思う。全て忘れたら私そのものが終わる。私からさよならしたくせに。
あなたを傷つけたのに。
許して…、そしてまだ終わらせないで…この恋情を。
愛情
何処にある?
いつも重い荷物を持ってくれること。
心の重荷を一緒に分け合えた事。
疲れていてもずっと運転してくれた事。仕事帰りちょっとしたお菓子をいつも買って来てくれること。
困ったときは必ず助けてくれる事。
虫が出たらどんな時でも退治してくれる事。
悩みやぐちも夜中でもいつでも聞いてくれる。
お願いすれば大抵は叶えてくれる。
行きたい所、行きたいお店、欲しい物、いつも私の希望を優先してくれる。自分が食べれなくても、私達に優先して食べさせてくれる。
考える事は自分より私達のこと。
妻と子供が自分の全て、お父さん…
お父さん、あなたは愛情のかたまりです。
微熱
初めての出会いは残念だけど忘れたの。仕事に夢中だったから。でもずっと私の話を真剣に聞いてくれてた雰囲気は感じていた。ある時少しはなれた場所から私を見つめる熱くて強い真剣な眼差しにドキッとしたの。言葉よりも真っすぐ心の奥に突き刺さったのを忘れられない。この世界に貴方と私、二人だけのように感じた。全身に電気が走って息苦しくて熱くて…私はあれからずっと微熱状態。貴方に触れたくて近づきたくて、ただ側に居たいだけそれだけで良かった。見つめ合えば金縛りみたいに動けなくなった。お互い眼と眼を合わせ少し恥ずかしいハニカミ笑い、それでもお互い眼が離せなくていつまでも見つめ合った。言葉はジャマなだけ。他に何もいらない。貴方がいるだけで2人でいられるだけで他に何もいらない。貴方の手も頬も少し微熱があったね。
空に向かって冷めた頬を冷たい風に当てている。身体は芯から冷えてしまった。遠い貴方に、言葉は何も思いつかない。死ぬまで貴方への微熱は続くでしょうと心で呟く。