終わらせないで
別れを言い出したのは私から。
この見えない鎖から解き放たれて自由になりたかった。
初めての男ではなかったのに、全て忘れられない。
あなたは寂しそうに笑った。
季節の替わり目に来るメール。
誕生日にお祝いのメール。
私は、嬉しいくせに全て無視した。
また、あの苦しい日々に戻る勇気はなかった。
何故愛することがこんなにも苦しいのだろう。
飲んでも飲んでも癒されない喉の渇き。求めても望んでも叶わない想い。本物の愛情ではないから?
私達は別々の道を歩き出した。
時々夢をみた。そんな時必ず側にあなたを感じた。わかっている。遠い何処かであなたも私を求めていることを。貴方が求めれば私は夢を見る。私が望めば心で思っただけなのに数カ月ぶりにメールが来る。元気か?と。
見えない何かでつながっている事、わかっている。あなたも私も。
終わりが近づきつつある私の人生。
忘れてしまった。
貴方の名前も顔も。なのに私を呼ぶ声が聞こえる。
…そうか?…と黙って話を聞きながら私を抱きしめる優しいひびき。
それすら忘れそうになる。
もう終わった遠い恋の思い出なのに
どこかで私を支えてくれていた。
いつも無意識に探している。似た人を追いかけている。
あともう少しだけ生きていようと思う。全て忘れたら私そのものが終わる。私からさよならしたくせに。
あなたを傷つけたのに。
許して…、そしてまだ終わらせないで…この恋情を。
愛情
何処にある?
いつも重い荷物を持ってくれること。
心の重荷を一緒に分け合えた事。
疲れていてもずっと運転してくれた事。仕事帰りちょっとしたお菓子をいつも買って来てくれること。
困ったときは必ず助けてくれる事。
虫が出たらどんな時でも退治してくれる事。
悩みやぐちも夜中でもいつでも聞いてくれる。
お願いすれば大抵は叶えてくれる。
行きたい所、行きたいお店、欲しい物、いつも私の希望を優先してくれる。自分が食べれなくても、私達に優先して食べさせてくれる。
考える事は自分より私達のこと。
妻と子供が自分の全て、お父さん…
お父さん、あなたは愛情のかたまりです。
微熱
初めての出会いは残念だけど忘れたの。仕事に夢中だったから。でもずっと私の話を真剣に聞いてくれてた雰囲気は感じていた。ある時少しはなれた場所から私を見つめる熱くて強い真剣な眼差しにドキッとしたの。言葉よりも真っすぐ心の奥に突き刺さったのを忘れられない。この世界に貴方と私、二人だけのように感じた。全身に電気が走って息苦しくて熱くて…私はあれからずっと微熱状態。貴方に触れたくて近づきたくて、ただ側に居たいだけそれだけで良かった。見つめ合えば金縛りみたいに動けなくなった。お互い眼と眼を合わせ少し恥ずかしいハニカミ笑い、それでもお互い眼が離せなくていつまでも見つめ合った。言葉はジャマなだけ。他に何もいらない。貴方がいるだけで2人でいられるだけで他に何もいらない。貴方の手も頬も少し微熱があったね。
空に向かって冷めた頬を冷たい風に当てている。身体は芯から冷えてしまった。遠い貴方に、言葉は何も思いつかない。死ぬまで貴方への微熱は続くでしょうと心で呟く。
太陽の下で
砂漠の民にとって又熱い国にとって、太陽は恨めしくもあり命を奪うかのようでもあり。
しかし極寒の民にとって又1年のほとんどが厚い雲に覆われた国に住まう者にとっては太陽は神であり、有り難い存在なのではないか。
地球に生きている生物全て太陽が存在しているから生きていられるのだ。しかしいつ太陽が爆発するか、フレアが突然飛び込むか、誰にもわからない。この一瞬が奇跡の時の中で私達はその重大さを忘れ、または気付かず、のほほんと生活しているのだ。
大きなことを言ったけど、今日もかなり日が高くなってからボーと起きて片目で眩しい太陽を見上げ背伸びして1日を始めている私なのだ。
そして、太陽の下で軽い体操をして
有り難いな〜とつぶやき、あったかい縁側で今日も朝イチのトマトジュースを飲むのであった。
落ちていく
今、落ちていく…今落ちている最中?
落ちていく事が分かっている、でも止められない…そんな感じ?
落ちるというと色々あるよね。
良いこともそうでない事も。
天にものぼる気持ちとか有頂天になってとか、逆に落ち込んでとか地に落ちたとか、自分以外はもしかしたら客観的に見たら、昇っても落ちてもなくて…。
人間て単純で愚かな生き物だから。
恋に落ちると言うけど、自覚したときはもう後戻り出来なくて、何処までも落ちてゆくもの。理性も常識も
周りの全てをも失っても、アホになって突っ走る。
もうそういう事は自分には起こらないと思うし、あんな苦しく辛い思いはしたくない。
男の為、金の為、家族の為、愚かな自分の為、落ちていく事があると言えば、大体は悪い意味で、悲しい結末が待っている。何時でも引き返せるのに勇気が無かったり、愚かだったり。幸せになる為に私達は生まれてきた。時には試練が有るけど乗り越えた者だけが分かる本当の幸せ。必ず乗り越えられるはずなのに怠惰な自分は楽な方を求める。でもその楽さは心身を削っている事に気づかない。
落ちるだけ落ちればあとは上るだけと。でも落ちたまま地べたを這いずり回って生きていくものもあるかもしれない。それも人生。
落ちていく時少し力が抜けて、気持ちいいと思えるから。
重力に抗わないでいられる心地良さ。
夢を見よう。せめて、想像しよう。
何時でも誰でも出来る事、思い描こう。どんな景色があるんだろうと。その先を見てみたいと強く強く本気で願えば、その景色は必ず見えるはず。
その本気さを一度は試してみてみない?