手を繋いで
「ねぇねぇ手繋ご?」
いいよ。
2人でいつも通り手を繋いでいつも通りの道を歩いて帰る。
こんな平和な日常が大好きだ。
私が1人で出かけても、帰ってきた時に玄関で待っていてくれて、ギューってしてくれる。
今度は私が言ってみたい。
いつも通りの道で
「ねぇねぇ手繋がない?」
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親子の話に聞こえましたか?
恋人同士の話に聞こえましたか?
ありがとう、ごめんね
部屋の片隅で
私の陣地は1畳だけ。
この1畳の中で、寝て、起きて、ご飯を食べて、勉強をしている。
トイレとお風呂は違うけど、
私の陣地はいつも真っ暗で朝が来ても深夜のようにくらい。
太陽を浴びないと病むってよく聞くけどそんなのどうでもいい。
もう病んでるから。
学校には行ってない。
私には親も兄弟も親戚もいないから学校に行けって言う人もいない。
もちろんご飯を作ってくれる人もいないし、お風呂のお湯を溜めてくれる人もいない。
まぁ、ご飯は3日に1回コンビニのお弁当食べればいいし、お風呂だって入らなければ済む話だ。
トイレは...そりゃあ汚いよね...
私の心の拠り所はSNS
私のストレス源もSNS
毎日スマホを見て癒されるし、毎日スマホを見て病んでいる。
私は今日も暗い部屋の片隅でスマホをいじる。
こんな時間が1番幸せで1番嫌な時間だ。
逆さま
今私の目にはいつもとは逆さまの景色が見えている。
上側に地面があって、下側に綺麗な夕焼けが広がっている。
だんだん地面が近付いてくる。
私は今堕ちているんだ。
気づいたら私は意識を失って、魂も失って。
地面に倒れている。
さっきまでこの世で生きていたのに、今からあの世で生きていくんだ。
いや、今空の上なら、
今まで生きていたところは、あの世というのだろうか。
全部逆さまだ。
夢と現実
今生きている時間は本当は夢なんじゃないか。
と考えたことはないだろうか?
本当は保育園のお昼寝の時間に見ている夢だった。
本当はお昼寝している時間に見ている夢だった。
などなど。
え?ない?それじゃあこれならどうだろう?
夢で見た出来事と、現実で起こった出来事の区別がつかなくなること。
僕は今、夢を見ているんだ。
死んだはずの姉が目の前にいる。
そんなはずなくて、ほっぺを叩いたり、手の甲をつねったりしたけどちゃんと痛かった。
でもそんな訳ない。
姉は確かに死んだんだ。
僕が殺したんだ。
お医者さまが、確かに死んだって言っていたし、お葬式だってした。
なのにその姉が今目の前にいる。
ちゃんと自分で姉のことを刺したんだ。
包丁で。
血がどばどば出てて、包丁にだって血がついてて、姉の体を触ったらだんだん冷たく、固くなっていくのだって感じたんだ。
おはよう。
やっぱり夢だったのか。
今僕が生きている世界に姉は居ない。
僕が殺したから。
ねぇねぇお母さん
お姉ちゃんの名前ってなんだったけ?
急に思い出せなくなっちゃって。
「お姉ちゃんって誰?」