入道雲

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5/19/2023, 12:08:22 PM

もし、明日、仮に僕が死んでしまうとして。
それが僕だけに分かっていたとして。

それなら僕はいつも電車の吊り革を持つあなたに一言だけ、「おつかれ」と言いたい、「だれだよ」って返してほしい。
それで同じクラスだよって笑ってみたい。
覚えてないわって少し困った顔で僕に謝ってほしい。
そしたら二つ先の駅まで話そう、いつも何の音楽聞いてるのって会話して僕もそれをプレイリストに入れるよ。金髪にするの痛かった?って、ピアスは怖かった?って聞いて開けてやるよって照れ臭そうに笑って、二人で近くのドラッグストアに寄り道して、ピアッサー買って、僕の勇気が出ないから開けられ無くて、それから「明日学校で開けてやるよ」って金髪の少し長い髪を光に反射させて、さらって揺らしながら君は言うんだ、それで僕も言う、「ごめん明日死んでる」

そんなにうまくは行かないだろうけど、良いでしょ。
さよなら世界。

5/18/2023, 12:04:41 PM

初恋は、高校1年生の時の担任の先生だった。
 背丈とか声とかさらさらした髪とか意外と細い指とか、思春期の僕にとってソレは身近に感じられる人間の仕草であり同性の仕草だった。初恋は叶わないなどとよく言ったものだ、僕は今でも彼が好きだ。当時彼は31歳だったから、今は36歳だろう。随分と年齢差があるけれど、そんなのどうだってよかった、叶うことならまた彼に会いたい。
 そんな願いは、先日、最悪の形で叶ってしまった。
四角い箱の中に眠る彼は当時からなんら変わりない、皺ひとつも増えていないのではないかというくらい変わりのない姿だった。背丈は低いままだったし、髪は白髪もなかった。指はよく見ると荒れていて、でも細いままだった。喉仏は男性らしく出っぱっていてこの声で何人もの生徒を社会に送り出したのかと思うと、感慨深いような、よく分からない感情になってしまって泣こうにも泣けなかった。
 葬儀終わりに同級生たちと集まって、出来ていなかった同窓会をやろう、という話になった。一人が卒業アルバムを持っていているからとみんなで集まってみた。みんな、成長したねーって話してこのときああだったねーって話した。先生の顔は記憶の中の先生よりもずっと若かった。
「先生、こんなに若かったっけ」
僕が口に出すと同級生は「先生、このときめっちゃ若かったよねぇ」と笑って返してくれた。
ああ、僕は初恋を随分ときらきらした思い出として扱っていたようだ、とそのときに気がついた。
「また先生の声聞きたかったよね」誰かが言って、
「そういえば先生、音痴だった」誰かが言って、
「たまに出す大声にびっくりしたなぁ」誰かが言って、
「卒業式の日、先生泣いてなかった?」誰かが言って、
「体育祭で優勝した時も泣いてた」誰かが言って、
「文化祭でも泣いてたよ」誰かが言って、
「意外と涙脆いよなあ」誰かが言って、
「先生、5年間でだいぶ老けてたね」僕が言った。

僕は思い出を輝かせすぎていたのだと実感して気がついた。
やっぱり僕は先生が好きだった。目を細め笑う姿が好きだった、木が揺れる音のようなあの透き通った声が好きだった、低身長をいじられてうるさいという表情が好きだった、やっぱり若かった先生も、老けた先生も僕は大好きだった。
 これは恋だ、終わった恋だ。
だけど終わったからーって水に流すわけじゃないし先生を忘れるわけじゃない、ただ、この初恋は一つの物語としてどこかにしまっておくだけ。

長い恋物語に終止符打ちます。
アルバム閉じて、さよなら、せんせ。

5/17/2023, 12:08:55 PM

真夜中って、結局何時からなんですか。
瞼が重くなる時間ですか、頭がぼんやりしてくる時間ですか、身体が気怠くなってくる時間ですか。

僕は快感を欲す時間が真夜中だと思います。
彼を家に呼んで、彼を家に上げて。彼に時折「急に呼び出すな」と注意されてへらへら謝って、二人でシャワー浴びて。身体が濡れたままだとシーツが濡れちゃうからって体を拭いてドライヤーをして保湿クリームを塗あって、やっとベッドに入る。「なんだかもう眠くなってきちゃった」って言ったら彼にスイッチが入って、そのままキスして抱かれちゃう。快感にシーツを掴んで、離して、彼の体に抱きついて。そのまま果てたらぐちゃぐちゃに汚れたシーツに眠って、朝は彼の「さっさと起きろ」の一言で目覚める。


あ。今、真夜中かもしれないです。

5/16/2023, 11:26:16 AM

愛があれば何でも出来るんだと、僕は知っている。
愛があれば、僕は強くて幸せで。
彼の愛の形を知ってしまえば、例え、それがどんな痛みを伴うものだとしても、お風呂場の鏡に映る自分の身体にあざが増えていたとしても愛があれば幸せで、なんでも出来る。

だから今僕は強くて幸せです。

5/15/2023, 12:36:51 PM

「彼と付き合って後悔していますか?」
そう聞かれたとき、僕は「はい」と答えたい。

だって彼、靴下を裏返しで洗濯機に入れるんだもの。

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