どれだけ祈れば呼吸は止まるの?
夜の海に飛び込んだ
泡沫みたいに消えてゆくなら
いっそのこと沈んでしまえよって
海の底から見るは月影
ゆらゆらと朧げに
浮遊感に似た感情
消えゆく意識
無意識を意識して呼吸をやめて
残像が虚構となる前に
さよなら
日差しのきつい夏の日のこと
作りものみたいな群青の空が眩しい
濃い青の奥には沢山の星々が輝いている
見えないくせによく輝いていられるわね
自転車のカゴに乗せたサイダーは気が抜けていて
味気ない私の人生みたい
「髪を下ろした方が好き」って
君は言うから 結わいていた髪ゴムを外す
じとっとした汗に濡れて 1人星を睨む
首に貼り付く髪が鬱陶しい
カゴに乗せたサイダーはいつのまにかビールになって
髪につく君の煙草の匂い
そんな君は知らぬ間にショートカットのお姉さんと結婚していた。
歳下には興味がなかったんだね
下ろしていた髪を結う
子供が嫌がるからと家では吸わない煙草
私の前では吸うんだ
別にいいよ
髪が長い方が貴方の匂いを纏えるから
貴方はいつの間にか大人になって
私はずっと過去の君に縋っている
気の抜けたサイダーが恋しい
だってぬるいビールはまずいから
そんな人生
虹だ!駅のホームからビルの向こう側に虹を見つけた。こんなに綺麗な虹なのに、誰も気づいていないでスマホを見ている。私だけが知って、ウキウキと写真を撮る。
こんなに手軽に写真が撮れる時代。素敵な空の移ろいも撮れるのに、誰も気付かない、誰も気にしない。そんな日常の一コマに気がつけたことに、少しの優越感。
「美味しくて、体にいいものたくさん食べてほしい」
って思えること。
ジャンクフードでも、オーガニックでも、なくて、スーパーで買った食材をお家でコトコト煮込んだり、ジュージュー炒めたり、そうやって出来たおかずと、炊き立てのご飯にお味噌汁。
普通の、でも一人暮らしにはちょっとハードル高い、そんなご飯。
あの人も食べてるかなあ。一緒に食べたいなあ。
七夕。7月7日。織姫と彦星が一年に一度だけ逢えるというその日。本来の七夕は旧暦の7月7日であった。現代の暦に直すと、ちょうどペルセウス座流星群が見頃を迎える時期と重なる。
遥か昔の人は、空に浮かぶ天の川と、それを貫く流れ星を見て、織姫と彦星の話を思いついたのではないか___なんて、考えてしまう。
「一年に一度。星が天の川を貫いている…あの光の橋を誰かが渡っているのかもしれない。一年に一度だけの、男女の逢瀬…この話いけるぞ…」
実際そうだったかなんてわからないけれど。そうだったらいいな。古代の人と時代を超えて通じてる気がして、なんだか嬉しい。
万葉集には七夕を詠んだ歌が百首を超えるという。古代中国の人々も、日本の万葉の歌人たちも、皆、七夕の日には空を見上げ、天の川の向こうの誰かを想っていたのかもしれない。ペルセウス座流星群は、私といにしえの人々を繋いでくれている。きっと、そう。