どうしてこうなってしまったんだろう
数分前までここには明るい空気が立ち込めていたのに
それはもう、嫌になるくらいに
それでも、
そんな空気が、
そんな空気をお前と一緒に過ごすのが、
好きだったのに
ついさっきまで明るい空気がむせかえるほどにここに立ち込めていたことは分かるのに、
この数分で僕が何をしていたのかは、何もわからない
ただ一つ、変え難い現実として僕の前にあるのは、
さっきまで笑っていた、お前の歪んだ瞳
そして、血のついた包丁
どうしてこうなってしまったんだろう
部屋にはウザいくらいの静寂が溜まって、
二人分の弱々しい呼吸音すら聞こえる
違う
微かに、何かが滴る音も
目の前の景色は酷く暗く、歪み、
同じ場所だとは思えなかった
もう、お前の顔しか見えない
顔すらも形がくずれて
りんかくもくちもはなもわからない
わかるのはお前の歪んだ瞳。それと、暗くて静かな部屋
どこで、間違えたんだろう?
隣から
深夜の電車
誰も近くに座っていないはずなのに
僕と先に乗っていた女の人以外
いないはずなのに
女の人の
離れたところに座ったのに
声が聞こえる
子供が泣く
子供なんていないはずなのに
声が聞こえる
子供が泣く
父親があやす
男の人なんていないはずなのに
ずっとずっと
声が聞こえる
さっき、女の人は降りたのに
まだ
聞こえる
声が
声が聞こえる
駅に着く
急いで電車を降りる
改札を通って
街灯もある、いつものみち
でも、まだ、聞こえる
声が
聞こえる
ある日、そらは泣いていました
やさしい男の子はそらにききました
「どうしたの?どこかいたいの?」
そらは、いいます
雲くんがいじわるをして、
太陽くんがかつやくできないようにしているんだ
はなしているうちにも雲はどんどんそらに広がります
そして、もっと大つぶのなみだを、そらは流しました
君からのLINE
待っていた
ずっと待ってたんだ
なのに
もう遅いんだ
スマホを手に取る
光が、今は眩しい
昔はこれをよく見てた
よくそんなことしてたな
「っくしゅん!」
寒い。
そりゃそうだろう、
一月なんだから。
でも
もうそんなこと
別にどうだっていい
「どうしたんだよ?最近全然連絡ないじゃんかー。
親友として非常に心配だぞー。連絡よこせよ」
こんなの、ただの社交辞令としか思えない
前だったら素直に喜んでいただろうが
嬉しくないわけじゃない、けど
もう遅いんだよ
『ごめんね。遅いんだよ。
もっとはやく欲しかった』
こんな不吉な文に合わない
明るい画面
睨みつけながら、
またも不吉な文に合わないスタンプ
ごめん〜!!
こんな文面だ
まぁ、明るい方がいいだろう
君からボイスメッセージが送られてきた
迷いなくタップする
君の声が再生される
、、、、、そっか。
椅子から降りて、
厚い上着を羽織って出る。
だって、タンクトップ一枚だから。
下にカッターが落ちていた。
危ないなぁ
電気を消す
彼の元に向かう
LINEのせいで、予定が狂ったじゃないか
貴方の近くにいると、胸の鼓動が高鳴るの
何かの病気かしら
貴方と話していると、胸の鼓動が高鳴るの
どうしてなのかしら
貴方と食事していると胸の鼓動が高鳴るの
心配になっちゃう
貴方に触れられると、胸の鼓動が高鳴るの
一体どうしちゃったのかしら
貴方といると、おかしいの
ちょっぴり怖いけど、
貴方のことは好き
また鼓動が高鳴るの
いつもより
大きく
あなた
どうして
鼓動が高鳴る
鼓動がとまる
あなた
どうして笑ってるの