1杯のうどん

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6/27/2024, 3:10:11 PM

「ここでは自分のスキルが活かしきれないと思って。」

後輩がそう言い残して先週辞めていった。
 悩んだ末の決断だったようで、私が後輩に助けられていることや、会社からも存在を必要とされていることを伝えても、本人の決断は揺るがないようだった。

漠然と辞めていった後輩の事を考えながら、朝8時半の始業とともに、仕事のお供のコーヒーを淹れる。
雨が降る窓の外を見ながら、自分のスキル、自分の居場所を必死に探していた頃を、昔の自分を思い出して、後輩と重ねていた。

置かれた場所で咲きなさい。とはよく言ったもので、そんなことは限られた人にしか出来ないと、昔の自分は思っていた。私も今の場所が自分の最適な場所だとは思っていない。そういう貪欲な部分も後輩と似ていて、勝手に近しいものを感じていた。

でも時が過ぎた今ならわかる事がある。あの時の自分は、きっとここではないどこかを見ていたのだと。ここに無いものを見て、ここにあるものを見ず、どこかにあるはずのものを探していたのだと。
そしてどこでもいい、ここではないどこかに行く事だけを望んでいたんだと。

今から、後輩の彼はきっといろんな場所へ行く。でもいずれ気づく時が来るだろうが、自分がいる場所が、どこだって自分の、自分だけの居場所だ。

6/25/2024, 10:59:12 AM

「ねぇ、あの花なんて花?」
「知らないわよ、もう帰りましょ…買い物いっぱいしたから荷物が重いのよ」
「綺麗な花じゃない?なんて調べたら出てくんだろ?」
「だから知らないって…なんか花の名前調べるアプリとかあんじゃないの?」
「アプリねぇ…情緒ないよね…」
「なんでそんな古臭いのが好きなのあんた、、あんたのほうが若いんだからアプリとか詳しいでしょうよ」
「ねぇ本当に知らないの」
「知らないってば」
「お母さん好きな花なんなの?」
「花?あたしはチューリップが好きかな…色も綺麗だし芯がしっかり凛としてて見てて気持ちいいじゃない」
「凛とかぁ」
「あんたは何なの?好きな花」
「私?え〜〜…白い花?」
「なにそれざっくりして」
「あの花さ、白いじゃん?だから目に留まって」
「あーそう、繊細なイメージね、白って」
「でもチューリップも可愛いよね」
「どうでもいいから家の鍵出してくれない?手が塞がってるの!」
「はーい」

6/25/2024, 9:11:08 AM

久しぶりですね。

1年前の私は、今ちょうど、いろんなことに悩んで戸惑っている時期でしょうか。
お察しの通り、私は1年後のあなたです。

中々どうしてこんな機会もないので、少しだけ、手紙を書くことにしました。
大きなネタバレは含みませんのでご安心を。
きっとちょうど大変な思いをしている時でしょうね。困って、本を読んだり、友達に聞いてもらったり、職場の人に相談したり、嫌になって意地になったり、色々だと思います。
そうやって1年前のあなたが頑張ってくれたおかげで、今は割と、平穏な生活を手に入れています。

思い返せば、になるから、今そんな悠長なこと言われても!って感じでしょうね。私もおんなじこと思うと思います。だって私はあなただから。
アドバイスとか、ないです。しません。今幸せだからです。あなた作ってくれたたくさんの贈り物を貰って、穏やかに暮らしています。
そして、今の私は更に1年後の私のために頑張っています。そうやって、ずっとこの先が続いていくのだと思います。
今ちょっと大変なのは、転換期だからですよ。
おやすみ期間で、力を溜めてるだけです。
そして、今したいこと、欲しいものは、全部正解です。全部私の身になってます。欲しい本も、香水も、洋服も、ちょっと高いお財布も、気になってたドーナツも、行きたい展示会の情報も、ぜーんぶ、1年後の私のお気に入りリストに入ってます。そして、まだまだ増えるんですよ。面白いでしょう?

こんな手紙でいいのかな。少し力になれたでしょうか?面白みが足りなかったりします?
1つ大きめのネタバレをしましょうか。ここから1年、あなたは大きく動きだします。いつもの場所じゃちょっと物足りなくなります。そしておもしろい方向に行き出します。なので、軽い足取りで、今日も明日も進んでみてくださいね。
そして、動き出したら今度、どんどん歩幅が広くなるんです。やっぱりこれも、面白いですよね。
あなたならこれを面白いと言ってくれるでしょう?
だって私はあなただから。