「secret love」
secret love なんて
かっこつけたいだけ?
なぜ秘密にしなければいけないの?
こんなにも愛しているのに
「妻には内緒」?
秘密にしたいような恋なの?
その程度なのね
そんなにも奥さんが嫌なら
別れてしまえばいいじゃない
あら、それは嫌?
臆病なのね
スリルが味わいたい?
所詮ただの玩具のようなものなの?
私って。
こんなにもあなたに尽くしているのに
貴方は私に返そうとしないのね。
open love なんかに惹かれるのなんて
生まれて初めてだわ。
バカみたい
体の関係だけのつもりなら
こっちから願い下げよ
あんたなんて。
「ページをめくる」
ページをめくる
嫌な思い出に蓋をするように
ページをめくる
楽しい思い出を想像するように
ページをめくる
過去なんかには知らないふりをして
ページをめくる
未来にたくさんの希望を抱いて
きっと君はもっと先を読んでいるんだろうけど
僕は君に追いつきたくて頑張って捲る
貴方への想いは
伝わらないのかな
君は過去なんてみようとしない
僕はずっと想っているのに
君は次の恋を探してる
「ふたり」
ここにない何処か
そんな夢を見てた
二人きりなら
どんな所でもいいよと
あなたは笑った
バスに揺られ
電車に揺られ
田舎を抜け出そうとした
こんなところから
早く出ていってやりたい
いい思い出がなかったんだ
僕らにとっては最悪の場所だった
前回も、
「二人きりならどんな所でも
いいとは言ったけど、
二人きりだから
整備も何もされてなくて
食べるものさえ見つからない。
ここは嫌だよ
どこか遠くへ行こう」
そう言って彼女は電車に乗り込んだ
それを追うように僕は駆け込んだ
あぁ、次はどんな理由で
嫌だと言うのだろう
段々と嫌気が差しながら
窓の景色を二人眺めた
「心の中の風景は」
心の中に
浮かんでは消えていく風景がある
昔に見た草原の
草と空が広がる風景
どっちが広いのかわからないくらい
遠くまで広がっているんだ
そんな夢を見た
もうずっと前のことだけれど
未だにあの景色が忘れられない
第三次世界大戦のあとに生まれた僕は
青空と原っぱを
まだ知らない
「夏草」
夏草と揺れる
君を見ていた
とても白くて愛らしい
眠るときは小さくなって
自然に体を預けている
そんな君が美しくて
たまらなくて
僕のものにしたかったんだ
星が瞬く夜の空を
君は飛んでいた
どこに行きたいのかが
わからないような羽ばたき方で
君に触れようとしても
ひらひらと避けられてしまう
こんなにも難しかったかな
そう思いながら僕は
傍を飛ぶ蝶めがけて
虫取り網を下ろした