月灯り

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12/11/2025, 10:31:51 AM

「夜空を超えて」

夜空を超えて会いに行く
なんて
誰が言い始めたのか

夜空を超えてまで
会いに来てくれるのは
どんな人だろうか

夜空を超えてまで
会いに来てもらえる人は
どんな人だろうか

目を閉じて考える
自分には無縁だな、と

夜空を超えてまで
会いに来てもらえるような
魅力がある人じゃないもの
私って

だから尚更怖いの
貴方の夜空を超えて会いに行くという言葉

私でさえ、私の魅力を知らないのに
なんで貴方はその魅力に気付けるの?

本当に気付いてるの?

嘘じゃないかと疑ってしまう

そんな、疑ってしまうばかりの私に
魅力なんてないものね

11/21/2025, 11:25:51 PM

「夢の断片」

よく、夢を見る

あの日の夢

あの日、朝霜が降りていた日
公園であなたと待ちわせをしていた日

あなたは私よりも早く着いていて
私を見つけると微笑んでくれる

そんな夢


あの日
宇宙に旅立った日

あなたはロケットの窓から私の目を見つめていた

私はあなたの目を見れなかった

そんな夢

11/18/2025, 10:43:51 PM

「記憶のランタン」

心に浮かぶ光は
本当にいいものだろうか

心の中を照らしてくれる存在は
心から信じられるものだろうか

ハロウィンのジャックは笑ってる
あれはほんとに笑ってる?

口や目をえぐられて
怒ってるかもしれない

ジャックのように照らしてくれても
本当は歓迎されていないかもしれない

私が信じる心の光も
私を歓迎していないかもしれない

そうだと嫌だな

信じたいものが信じれないのは
嫌だな


そう思いながらジャックの頭に
お菓子を詰め込んで笑う

11/17/2025, 10:26:42 AM

「冬へ」

暖かい体内から出した息が
急に空気に触れて白く凍ってゆく

前までは半袖だったのに
みんなマフラーなどを着始める

私は冬が好きだ
長袖を着ていても違和感がないから

「急に寒くなったね」
そうやって友達と話しながら

だんだん近づいてくる試験から意識を逸らす

「嫌だね」
「そうだね」
「ずっとみんなと笑ってたいね」
「そうだね」

そう笑いながら
隣を歩く友達は私を見る

「気になってたんだけど」
「どうしたの?」
「あなたっていつも長袖だよね」
「長袖が好きなんだ」

言われすぎて慣れてしまった嘘を
簡単に吐く

「暑くても長袖だよね」
「好きだからね」
「捲ろうともしないよね」
「好きだからね」

生きていくために必要なことなんだ
そう自分に言い聞かせて
どれだけ経っただろう

そろそろ辞めようかな
そう思いながら無意識に腕を触る

「そんなに好きなの?」
「好きじゃないさ」

数え切れない腕の切り傷を隠すため
今日も私は長袖を着る

11/16/2025, 2:19:43 AM

「木漏れ日の跡」

木の下でうたた寝をしていた

そっと誰かがやって来て
毛布をかけてくれた

しばらくして
別の誰かがやってきて
僕の横にパンを置いてくれた

またしばらくして
別の誰かがやって来て
僕の横で綺麗な歌を歌ってくれた

僕が目を覚ました頃

太陽が移動して
木漏れ日が消えていたけれど
人の優しさの跡が一緒に残っていた

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