Lati

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6/10/2025, 8:38:11 PM

2025年6月10日
【美しい】

「美しい」とは
咲き誇る花の色だけじゃない
誰にも見られず 静かに散っていく
花びらにも 宿るもの

涙をこらえて笑った横顔
言葉にできなかった「ありがとう」
ひとつひとつに触れたとき
胸がふるえる

きっとそれは
誰かのために願う心とか
何かを失っても なお
やさしくあろうとする姿とか

そんなものに
人は「美しい」と 名をつけるのだと思う

目に見えないものが
心を揺らすとき
ほんとうの美しさは
そこに、そっと 息づいている

6/9/2025, 11:43:02 AM

2025年6月9日
【どうしてこの世界は】

どうしてこの世界は
願いと逆のほうへ転がるのだろう

生きたいと願った人が
点滴の音に囲まれて
静かに、春を待たずに消えていく

消えたいと呟く誰かは
笑顔の輪の中にいて
明日を義務のようにまた迎える

雲ひとつない空に
涙の理由は映らない
風はただ 平等に頬を撫でるだけ

神さまはいるのかな
いたとしても 私達は何かを間違えたのだろうか

だけど それでも
この矛盾を知っても
誰かは誰かに
「生きててくれてよかった」と言う

どうしてこの世界は
無情で、でも
ときどき やさしすぎるのだろう

6/8/2025, 10:05:42 AM

2025年6月8日
【君と歩いた道】

君と歩いた道がある
何気ない季節のなかで
笑ったり 立ち止まったり
時には 黙って空を見上げたりして

その一歩一歩が
知らないうちに 宝物になっていた
気づけば いちばんやさしい記憶になっていた

落ち葉の色も
夕焼けのにおいも
君がそばにいたから 特別だった

今はもう 一緒じゃないけれど
道は あの日のまま続いていて
風が吹くたびに 君の声が
ふっと よみがえる気がするんだ

後ろをふりかえるたび
君の足音を たしかに思い出す

忘れないよ
どこまでも歩ける気がした あの時間を
たとえ今 それぞれの道を行くとしても
あのとき 確かに一緒に歩いた心だけは
今も ちゃんと ここにある

6/7/2025, 10:02:38 AM

2025年6月7日
【夢見る少女のように】

夕暮れの空に 手をのばす
届かないことを 知っていても
その手は まっすぐに

夢見る少女のように
信じていた 世界のきらめき
小さな胸に しまいきれないほどの
希望を抱いて

風に揺れるリボン
うつむいた瞳に映るのは
誰にも見えない 未来のかけら

「いつかきっと」と
何度つぶやいたか もうわからないけれど
その言葉が お守りみたいに
今日も心に光を灯す

大人になるって 何かを捨てることじゃなくて
重ねた夢の上に 現実を立たせること
それでも 忘れたくないんだ
あのころの澄んだまなざしを

夢見る少女のように
明日を信じて
私はまた 一歩を踏み出す

6/6/2025, 10:15:50 AM

2025年6月6日
【さあ行こう】

あと一歩が 踏み出せなくて
ずっとここに立っていた
風が服の裾を引いても
まぶしい朝日が照らしても
私は まだ…

だけど ふりかえれば
思い出が そっと背中を押していた
笑いあった日も
泣きはらした夜も
ぜんぶ、ぜんぶ
ここに置いていくんじゃなくて
連れていくんだと 気づいた

誰もいない道に
それでも あの声が聞こえる

「さあ行こう」
たったそれだけで
涙がこぼれそうになるのは
今までの時間が 本物だった証

未来がどんな形でも
不確かでも
それでも

「さあ行こう」
その言葉を、今度は自分の声で言ってみる
少し震えていたけれど
ちゃんと届いた気がした

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