2025年6月20日
【好き、嫌い、】
好き、
でも嫌い。
いや、やっぱり好き。
……けど、嫌いかもしれない。
君の声があたたかくて
優しすぎて、ずるいから
つい 目をそらしてしまう
笑いかけてくれるたびに
胸がギュッとなって
「なんでそんなふうにするの」って
言いたくなるくらいに
好き、嫌い、
何度も心の花びらをめくってみるけど
どこにも
「終わり」の文字はなかった
この気持ちは
君に言えないまま
まだ揺れている
2025年6月19日
【雨の香り、涙の跡】
雨の香りがした
窓の向こう グレーの空に
君の声が まぎれてる気がした
傘もささずに歩いた日
びしょ濡れの髪で笑った顔
全部 ちゃんと覚えてるのに
今はもう 届かない場所
頬をつたった この涙
雨とまぎれてしまえば
泣いたことさえ 誰も知らない
だけど
消えない
濡れたアスファルトに残る
小さな足跡と
言えなかった「またね」が
雨の香りに紛れて
今日も少しだけ 君を探してしまう
まるで まだ
どこかにいる気がして
2025年6月18日
【糸】
君とわたしを結んでいた糸は
目には見えないくらい細かった
それでも確かに感じた
笑ったときにふっと揺れる
風のようなやさしさで
ときどき絡まって
ほどけなくなって
それでも切れはしなかった
けれどある日
気づいたらその糸は
わたしの手の中になかった
引っ張ることも
結び直すこともできないまま
ただ静かに空を見ている
2025年6月17日
【届かないのに】
届かないのに
どうして こんなにも
君に向かって手を伸ばしてしまうんだろう
もういないと 知ってるのに
声も 触れたぬくもりも
霧の向こうに消えたと わかっているのに
風に乗せた言葉は
ただの空気になって
何も返ってこないまま 夜がくる
届かないのに
それでも 願ってしまう
「もう一度だけ」って
届かないことを 知ってるくせに
2025年6月16日
【記憶の地図】
あの日 君と歩いた道
もう名前も忘れてしまったけど
角を曲がるたびに 風の匂いが蘇る
記憶の地図は
紙に描かれていない
胸の奥 静かな場所に広がっていて
時間のしみと 言葉の跡でできている
さよならを言ったベンチも
泣きながら走った坂道も
今では 優しく笑える場所になった
忘れたくなかった
忘れたはずだった
そんな気持ちを拾い集めて
私はまた ひとつ道を覚える
記憶の地図をひらくたび
君の声が遠くで響く
「また会えたらいいね」って
まるで 昨日のことのように