心にぽっかりと穴が空いた。
とはよく使われる表現で、寂しいとか、苦しいとか、そういうのじゃない。ただ、ナニカが足りない。そういう心を表した言葉だ。
一気に寒くなったこの季節は孤独感が増す。
冷える指先に、まだ薄暗い朝に、冷たいシーツを1人で濡らす夜に、人肌が一段と恋しくなる。
それでも今日が来たら生きなきゃいけないから、冷たい水で顔を洗って表情を固めた。
いつの間にか涙が溢れることがないように。
外に出て一歩、一歩と歩き出す。
風が心に空いた穴を吹き抜けていく。
私を孤独だと言うように。
夜の公園。君と2人でブランコに乗った。
君の涙を月明かりが照らす。
クラスで人気の男子。
スポーツ万能、成績優秀、誰もが羨む面の良さ、スタイルもモデル並みで面白くて優しい。
神が二物、三物を与えたような人物。そんな人に君は恋をした。
でも、君の恋は今日儚く散った。
涙を流す君をただ見つめる。
僕も泣きたいのにな。僕の方が君を好きなのに。
君がアイツを思って泣いてるのが悔しいんだ。
僕ならもっと。なんて、そんな事言っても君は僕を見てくれないんだもんね。
君を照らす月は、まるでスポットライトで、僕は君の人生の登場人物Cでしかないんだね。
体に傷を作った。お風呂場が赤く染まった。
大量の薬を飲んだ。トイレが吐瀉物で塗れた。
自分がこの世からいなくなるのが怖かった。
だから、自分の存在を確かめるように痛みや苦しみを求めた。
1人でいたくて、独りは痛くて。
寂しくて、誰かを求めて、1人を願って、気づかないで欲しくて、寄り添って欲しくて。
この世界は広くて寂しいから、
誰かを求めて1人を望む。
わがまで寂しがりやな私が、この世界で生きる術。
そんなものが、ありますか?
いかないでと、願ったのに。
あの人にまだ行かないでと言えなかった。
あの子にまだ逝かないでなんて言えなかった。
「いかないで」という言葉が、どれだけ相手を縛り付けるのか分からない。
でも、きっと私がそんなことを言ったらダメだから、あの人もあの子も、優しいから。
限界まで自分を追い込んでしまう人だから。
だから、いかないでと、願ったのに___。
今日も息をする。
生きるため、死なないため、体に酸素を巡らせる。
いっそのこと止まって仕舞えば良いのに。
何が辛いとか、何が嫌とかじゃないんだ。
ただ、ここに居るのが違和感なんだ。
友達と笑って過ごしている時もどこか虚しさを感じる。まるで自分だけがこの世界の一員ではないような気持ちに襲われて、心臓の鼓動が痛い。
今日も死んでみたいと思う。
そしたら誰かが悲しんでくれるかな?
誰かが悲しんでくれるなら、僕はこの世界の一員と呼べるのだろう。
そして今日も息をする。
そして、今日も窓枠に足をかける。