宵風に吹かれたい

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10/23/2025, 1:45:54 PM

無人島に行くならば、僕はなにも持って行かない。

都会でも田舎でもない。人とも会わない。
きっとそこで死にゆくだけなら、無駄な足掻きはしたくない。
何かを考えるのではなく、ただ疲れた体を寝そべらせ、空を眺め、波音に耳を澄ませたい。
そしていつか「寂しい」と思えた瞬間が、無人島に行く理由だろう。

いつか、いつか僕にその瞬間が来るのなら、僕は無人島で死んでも構わない。

人に疲れた僕は無人島で人が恋しいと思いたい。
そう思えたなら、僕はこの世に悔いなく死んでゆく。

10/21/2025, 8:15:09 AM

仲良し4人組。
でも、その中の2人がいじめっ子いじめられっ子関係だった。
いじめっ子のアノコは、いじめていた子のミサンガを切り刻んでゴミ箱に捨てた。わざと肩にぶつかった。
小さな小さな事。それでも、小学生だった私達にとっては重罪だった。

それからアノコとは遊べなくなった。
私がアノコに話しかけるとアノコが悪者にされるから。
いじめを擁護するつもりはなかった。
ただ、一緒に遊びたかった。
でもアノコと話してはいけなかった。
それが、暗黙のルールであるかのように。

私が小学校で学んだ事。「社会での正しい立ち回り」

10/20/2025, 9:18:23 AM

光と霧の狭間で、俺は一体何を考えただろう。
光がこちらだと叫んでいるのに、俺は先の分からない霧へ向かう。
未来が良く見える光は、安定で幸せなんだろう。
霧の世界は何が起こるかわからない。でも、俺はそれが良いんだ。

全てが順調で平坦な未来より、少し先がうっすらと見えるような、それでも転んでしまうかもしれない世界に飛び込みたい。

光と霧の狭間は運命の別れ道。

もっと、もっと、ワクワクしたい。

そんな俺は霧の世界へ一歩進んだ。

10/15/2025, 9:09:36 AM

結婚13年目。
夫婦の仲は良くも悪くもない。
家は静寂に包まれていて、テレビのバラエティ番組の笑い声だけが響く。

ある日俺は会社の飲み会に行くことになった。
なかなか盛り上がって帰ってきたのは夜の2時。
明日は休みなので思う存分寝るとしよう。

次の日、起きたのは昼で見事に二日酔いだ。
何か食べるものを探しに冷蔵庫を開けると、切られた梨にラップがかけられ、その上には付箋が貼ってある。
「コレ食べて良いから。どうせ二日酔いでしょ?」
俺は梨を一口頬張った。
ジュワッと口に広がる甘い果汁に妻の笑顔を思い出す。

今日は妻の好きなケーキでも買ってこようか。

10/13/2025, 1:24:57 PM

君の歌声が好きだった。
2人で歌うのが楽しかった。
将来は2人で音楽で飯を食っていくんだって語り合った。

でも、その頃には俺の耳が聞こえにくくなっていて、医者に言えば後天性の難聴と診断された。
それでも治療をすれば治るんだって。だから君と一緒に治療に励んだ。

だけど俺の難聴は悪化していくばかりだった。
しまいにはもう治る可能性はゼロに近いなんて。

だから、君に別れを告げた。
君1人なら世界に羽ばたける。
俺なんかが邪魔をするべきじゃない。
なぁ、泣くなよ。
最後くらい歌ってさよならしようぜ。

俺の世界から音が無くなる前に。

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