汚れたこの世界。
この世界を裸眼で見てしまった人間は皆んな腐ってしまう。
それでも耐えて、耐えて、耐えた挙句に朽ちる。
だから賢い人間は汚れが見えないように、フィルター越しにこの世界を生きる。そして汚い世界に順応して汚くなる。
その辺に転がってる死体は何より綺麗で、生きて世界を歩く人間は何より汚い。
この汚い世界はそうして出来ている。
だから汚れは無くならないし、この世界に絶望を抱くものは死んでいく。
残念な世界だな。
僕?僕は、汚い汚いこの世界のゴミだよ。
いつも少しだけみんなと違った。
笑いのツボが違ったり、相槌のタイミングが違ったり、全部少しずつ違っていた。
そのことに気づいたのは小学校高学年くらいのときだった。
お前は変だ。お前は気持ち悪い。
子供だからこそのまっすぐな言葉が僕の心に突き刺さった。
そこからは自分を隠して生きてきた。
皆んなが笑ってる輪の外で、僕は1人でみんなを眺めている。本当にそれだけ。
変だと言われるのが怖くて、お前なんか仲間じゃないと言われるのが嫌で、人とは関わらないようにした。
自分から拒否して、仲間にすらなれない。
こんな僕が、仲間と呼べる人に出会えますように。
雨の日。傘を忘れた君に思い切って「一緒に帰る?」と誘ったんだ。
君は雨の中に突如として現れた太陽のように眩しい笑顔で俺に感謝を述べて俺の傘へ入ってきた。
いわゆる相合傘というやつだ。
君に伝わってしまいそうなうるさい鼓動も、赤くなっていく顔も抑えられるものではなかった。
でも、全部雨のせいにできたから、安心したと同時に少しだけ残念だった。
全部、雨のせいにしてしまう自分が嫌だった。
だから、本当に小さな声で「好き」って言ってみたんだ。
君は何も聞こえなかったみたいで、聞き返してきたけど俺はまた雨のせいにした。
自分を隠せる雨が好きで、嫌いだ。
雨の日しか君と話せない自分が、大嫌いだ。
誰もいない教室には、私の机の悪口を消す君がいた。
一生懸命雑巾を上下させて、苦しそうな顔をしている。
別に私は気にしていないし、君が気にする必要もないのに。
ポンパドールの横に出ている触角のような長い髪が、俯く君の顔に影を落としていた。
君の目は悲しみに満ちていて、私の目は輝いている。
こんなこといつもの事だった。悲しみすらも感じなくなっていた今日、君は私に胸の高鳴りを覚えさせた。
ずるいなぁ。
こんなの本当はダメなのに、この落書きが終わって欲しくないって思っちゃうじゃんか。
ねぇ、君はなんで私の机の悪口を消すの?
君もいなくなった教室で
まだうっすらと残っている悪口を撫でた。
みんなが僕のずっと遠くで青信号を進んでる。
僕はやっと追いついたのに、赤信号に変わって進めない。
みんなはまた青信号を進んでる。
待って、待って、僕も行くから、待ってよ。
僕の周りには誰もいなくて、僕は赤信号を睨むだけ。
上手く歩けばタイミングよく青信号を渡れる。
それでも、僕は下手くそだから毎回赤信号に引っかかる。みんなに追いついたと思っても信号で止まってしまう。
でも、気付いたんだ。信号ってのはあるだけで、車なんか走っちゃいない。止まる必要なんかないって。
勇気を出して赤信号を進んだ。怪我はしなかった。
危なくなんてなかった。周りに誰もいないなら、誰にも邪魔されないんだ!
僕に、信号なんて必要ない。僕の道は、僕が__