宵風に吹かれたい

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8/29/2025, 2:02:17 PM

心の中の風景は
今日、美術の時間に「心の中の風景を描く」というお題がでた。
思い付かず、隣の席の人の画用紙を覗き込む。そこには暖かな太陽と綺麗な花畑が描かれていた。逆の机を覗き込むと、一つのベットが描かれている。

私は未だ真っ白の画用紙を眺めるだけ。
考えてみれば今までの人生、何をしていたんだろう。何を思っていだんだろう。
そう問うてみても何も分からなかった。
そう、「何も」おかしいな。
今までだって、思い出とか……あれ?
嬉しい事とか…悲しかったり……怒ったり…喜ぶ事だって……あれ、分からない。

そうか私の人生全部、「なんとなく」だったっけ。
朝起きて、学校に行って、誰かと話して、部活して、帰ってきて、寝る。
全て「なんとなく」で、自分で考えたことなんてなかったな。

じゃあ、描くものもないか。
私の心の中の風景は、真っ白で何もない。
寂しくもないけど、まぁ…いつも通りだね。

8/29/2025, 9:58:59 AM

暑い風の中にいる独特な匂いを放つ夏草。
蒸し暑い田舎にある、夏草に囲まれた大好きな君のお墓。
冷たくなった君を埋めて、大きめの石を乗せただけ。
私が中学生の時に死んだんだっけ。
その日も夏草の独特な匂いが漂ってた。
生ぬるい風が頬を撫でるのが気持ち悪かった。
私の大好きなお姉ちゃんが、死ぬなんて思わなかった。
お墓の周りに生えている夏草を抜く。暑いけど、お姉ちゃんのためだから。
夏草の匂い。嫌いだな。お姉ちゃんを埋めた時を思い出す。
あぁ、もう一度会いたいよ。
もう一度だけ、そばに来てよ。

夏草の匂いに包まれて、今日もお姉ちゃんを思い出す。
三毛猫の可愛いお姉ちゃんを。

8/27/2025, 11:05:54 AM

幸せの青い鳥の話。孤児院で読んだんだ。
結局、幸せは自分たちが元々いた場所にあったんだっけ?
そんな綺麗事が信じていられるうちは、私の幸せはここにあるんだよね。
でも、それが綺麗事だと気づいた瞬間に青い鳥は逃げていく。いや、青い鳥の幻覚は見えなくなるんだ。
私は気づいてしまったんだ。
あの話は親のいない私達のために、気休めに読まされていた話だった。
ここにある。そう信じていられたのはいつまでだったかも分からない。

でも大丈夫。私の青い鳥はいなくても、私の居場所はここにある。
幸せとは言い難いけど、居場所があるだけありがたい。

青い鳥なんていなくていい。親なんていなくていい。友達なんていなくていい。綺麗事なんてなくていい。
泣き方だって分からなくていい。
寂しいって思えなくてもいい。

私の帰る場所はここにある。

8/27/2025, 9:55:03 AM

素足のままで砂浜を歩いた。
素足のままで草原を歩いた。
素足のままで道路を歩いた。
素足のままで…どこまで来たのだろう。
僕は、いつから歩いているのだろう。
足が冷たい。熱い。痛い。疲れた。
でも、まだ歩かなきゃ。助けてって言わなきゃ。

地震。僕の家族が下敷きになってるんだ。死んじゃうかもしれないんだ。誰か、誰か、助けてよ。
あ、人がいる。助けて。助けて、助けて!

ちょっと何するのさ、僕の家はあっちだよ。ねぇ、なんでそっちに行くの?なんで僕を「ホゴした」って言ってるの?ホゴって何?お願い、僕の家族を助けてよ。

素足のままの僕を手当てしながら「キュウジョタイ」って人が言った。
僕の家族のところはもう見に行ったんだって。でも、僕の家族はいないんだって。多分、死んだってことだよね。まだ何も知らない僕でも分かったよ。

僕に家族はいない。いなくなった。
素足の痛さが僕を立たせなかった。

8/25/2025, 1:45:45 PM

もう歩くことさえ出来なくなってしまった。
この足で君の隣を歩くことは叶わないんだね。

スマホを見ながら運転をしていた車が突っ込んできたんだ。
君が轢かれそうになったから、君だけは守らなきゃって君を突き飛ばして、代わりに俺が轢かれた。
次目覚めた時には足が動かなくなっててさ。リハビリしたって一歩も歩ける様になんてならなかった。
退院した今だって、車椅子を君に押してもらっている。

喋れる、聞こえる、見える、匂える、触れる。
なのに歩けない。もういっそのこと殺してくれればよかったのに。君の横を歩けないなら、君の横顔を見られないなら、生きている意味なんてない。
君の手を引けない。君の手を煩わせている。

お願いだよ神様。
もう一回だけ、いや、もう一歩だけ、彼女の隣を。

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