暗がりの中で、迷ってしまったら
とりあえず、真っ直ぐに進んでみよう
そうすれば、必ずなにかには近付くんだから
暗がりの中で、迷ってしまったら
恐れず、ただ一歩を踏み出したい
だって人は、光に惹かれてしまうものだから
紅茶の香りって、不思議だ
べっこうあめを溶かしたような色をしているのに
優しく顔を撫でる匂いは、少し苦そうで芳しい
そんなあなたには、クッキーを添えて甘さを加えよう
落ち葉のような茶色が嫌なら、ミルクを加えて
一足先に雪を見に行こう
苦さに加えて酸っぱさも欲しい
そんな大人なあなたには、レモンを添えよう
紅茶の香りって、不思議だ
レモンのように酸っぱくもないし
ミルクのようにマイルドでもないのに
クッキーのように甘くもない
なのに、香りだけは何を加えても変わらない
行かないで
そう言えた私は、きっと前より素直になった
でも、本当は
あなたの行き着く先に、追いつけるようになりたい
もっともっと、欲を言えば
あなたに追いすがられる程、私が求められたい
行かないで
今は私が言う番だけれど、
きっといつか、あなたに言わせてみせる
――行かないで、と。
果てしなく続く、優しい群青色に恋をした
洗いたてのシーツみたいにシミ一つない雪色じゃなくて
誰もが羨望する、オレンジ色のあなたでもない
泣いた時に、そっと慰撫するように一緒に泣いてくれるあの人でもない
その全てを黙って包み込む、優しい青色の広さに
どこまでも雄大に続く、あなた色の自由に
恋をしたんです
春から夏にかけて、衣が薄くなるのは
新たな生活に慣れて、動き回りたいから
夏から秋にかけて、一枚多くなるのは
ちょっと浮かれやすいその時期に、かぜを引かないため
秋から冬にかけて、更に一枚増えるのは
それだけ君が、重荷を背負えるようになったということ
冬から春にかけて、一枚減るのは
この一年かけて、きっとあなたが一皮剥けたから