#17【街の明かり】
暗闇に続く堤防。
海の向こうに見える明かりは
昔住んでいた街の明かりだ。
チカチカと揺れる
その明かりの一つひとつが
愛に包まれていますようにと
小さく祈る。
逃げたんじゃない。
羽ばたいたんだ。
#16【七夕】
いっつも天気が悪い!
全っ然、見えない!
むぅ。
空を睨んだところで
どうしようもないのだけれど
ただでさえ星の少ない場所だから
こんな日ぐらい観たいじゃないか。
最近は夜に出歩くこともなくなったから
めっきり夜空を見上げることがなくなった。
月の満ち欠けにも鈍感になって
今、どんな形をしているかもわからない。
だから、今夜くらいは
ベランダから眺めたかった。
星空、観たかったのに。
毎年のように
「今年こそ!去年のリベンジだ!」って
言っている気がする。
2023年 7月7日、雨。
#15【友だちの思い出】
小学2年生の時に出会ってから
今も仲良くしている友達がいる。
割とあっさりとした関係で
気がついたら、なんかいる。
そんな感じ。
中学生になったら
美術部に入ると思っていた彼女は
なぜか私と同じ吹奏楽部にいたし
推薦が決まっていた私に
「高校、離ればなれになっちゃうねー」と
話していたのに
入学式には一緒に参加した。
ある日の事。
「明日、遊びにいこう!◯時に迎えに来てね」
そう連絡をもらって家に向かうと
玄関に出てきたお父さんが教えてくれた。
「え?約束してたの?まだ寝てるよ?!」
マダ、ネテルヨ。
ちょっと何言ってるのかわかんないっす状態で
目をぱちくりさせる私。
「取り敢えず上がって!朝ごはん食べた?」
「フルーツ食べる?ジュースもあるよ!」
「ホントごめんねぇ!すぐに準備させるからね!」
あまりのお父さんの慌てっぷりに
怒る気も失せた。
妹ちゃんとテレビを観ながら待っていると
ご本人登場。
私は彼女の第一声を忘れてあげない。
「ごめーん…起きたら今だった。」
#14【星空】
昔、付き合っていた人が
星が綺麗に見えるという道の駅に
連れていってくれたことがある。
夜更けに隣の県まで車を走らせ
辿り着いたその場所は
少し視線を上げただけで
星が目に飛び込んでくるくらい
暗くて静かなところだった。
寒いからと、少し横着して
サンルーフからみた星空は
なんだかプラネタリウムみたいで
やっぱり外に出て見よう!と
寝転がる身体を揺らす。
「そう言うと思った」と
ドヤ顔と一緒に差し出されたブランケット。
さすが、わかってる!と
大袈裟に褒める私に見せたその笑顔は
星に負けないくらい
キラキラしてた。
そんなことを
久しぶりに思い出した夜。
#13【神様だけが知っている】
神様が何者なのかは
神様しか知らない。
それは
私たちが知らなくても良いことだから。