5/22 ライブ感
イマーシブフォート行って来た。
既存の枠を飛び越えた新しいショーとの出会い。面白かった。これは演劇関係者に一石投じたんじゃないか?
私も小説の枠に囚われず作品作りをせねばならないな。
夕飯はトムヤムラーメンが食べたくてタイ料理店へ。あっ、今日やってない。じゃあ、ということでベトナム料理店でフォーを頂くことに。
ベトナム料理店って、常連のベトナム人が座席を占めてて、入りずらくて尻込みする時があるのだが、道路から店内が見えなかったために、そんなことは忘れて通路を奥に進む。店は2階にあるのか、階段を登るとそこはベトナム料理店だった。くせぇ。ンコの匂いに近いんですが。そしてやはりいたベトナム人常連客。いいんだけど、ノロマな日本人が何しに来やがったんだ?という目で見られはしなかったが、やはり本場の方々に囲まれると小さくなってしまう。
俺の目の前の卓には酔い潰れたベトナム人がいた。本当に酒か?薬じゃないよな?と言った印象の潰れ方。ゴミが散乱している。椅子をゴミ箱代わりにしてますよね?ティッシュが風に流され我がテーブルの下に。やだぁ、俺が捨てたゴミじゃないよ。フォーは美味しかったけど。
フォーってわざわざフォーだけ食べにくるような代物かな?あっさりしてるから締めとか、スープ代わりな様な気がする。俺はラーメン、そば、うどん以外の麺類の店を出したいと言う妄想があるのだが、その店のメニューからは消してしまいましたとさ。
コーポ工房
私の名前は怪々夢 濁身(ケケム ダクミ)コーポ工房の経営者だ。経営者と言ってもマンション経営で財を成した父親に、20歳の誕生日プレゼントで貰ったのだ。だからアパート経営のノウハウなど無い。諸々の事は管理会社に任せてしまっているから契約の時ですら住人とは顔を合わせない。ただ、入居者が増えると小遣いが増えて、入居者が減ると小遣いが減る。最近は小遣いは減る一方だ。そんな折、コーポ工房がある矢場から2駅行った先の大須にコーポエリーゼと言うアパートがあって、何でもすこぶる評判が良いらしい。と言う情報を聞いた。私は何としてもその評判の秘訣を知りたいと思った。
大須駅で降りて不動産屋に入る。2DKで月68,000円以下の条件を出せばコーポエリーゼが候補に入ってくる事はリサーチ済みだ。案の定、2件目の物件はコーポエリーゼだった。私は適当に相槌を打って内見に行くことにした。
1件目は築25年だがリフォームされて新築の様だった。
「やっぱり工房もリフォームした方がいいのかなぁ。」
そんな事を考えながらリフォームに関する事を中心に質問していった。そして、がらんどうの部屋に洗濯機だけが置いてあるので質問してみた。
「この洗濯機は何ですか?」
「ああ、これは備え付けの洗濯機です。洗濯機って寸法考えたり、買う時悩みますよね?こちらの物件は洗濯機が付いてきますので、そんな悩みは必要ないんですよぉ。」
不動産屋は得意げに語尾なんか伸ばして説明してきたが、私はジャブを2,3発貰った様な気分だった。時代はそこまで進んでいたか。
2件目はお目当てのコーポエリーゼだ。見た感じ何の変哲もない。これではコーポ工房の方が良いくらいだ。そうなると人気の秘密がますます分からない。住んでみないと分からないと言うことなのか?
「ここいいですね。ここにしようかなぁ。」
本心では絶対ここがいいです。と思っているのだが、怪しまれない様にさり気なく言ったつもりだ。
「お客様、ここ気に入りましたか?小説とか書かれている感じですか?」
「えっ、書いてないですけど。」
「じゃな、イラストとか、絵画とかやられているとか?」
「ないですけど。」
「こまったなぁ、楽器とか嗜まれているとかないですかねぇ?」
「ないですけど、何か問題があるんですか?」
貸し手が貸すのを渋るってどう言うこと?俺の声は尖っていた。
「いやぁ、コーポエリーゼなんですがね、アーティスティックアパートと言いますか、トキワ荘見たいなもんですね。住人は必ず芸術活動をしているんですよ。」
「えっ?それが条件ですか?」
「条件と言いますか、暗黙の了解と言いますか。」
「俳優です。役者をやっています。」
「ほう、それは素晴らしい。」
嘘を付いてしまいました。学生の頃に演劇サークルに居ただけです。それも端役ばかりの。
「ぜひ何か見せて頂けませんか?」
その顔から信用していないのが手に取る様に分かる。不動産屋よ、正解だ。
「じゃあ、ちょっと、早口言葉を。」
舌で唇を湿らしてからメジャーな早口言葉を繰り出した。
「生ムニ、生モネ、生ナナポ」いかん、全部噛んでしまった。
「うーん、アドリブですか。もう一つ何か、例えば朗読なんかできませんか?」
朗読か、暗唱できる詩なんかあったかな?私は咄嗟に思いついた詩を朗読した。
「男には自分の世界がある。例えるなら、空をかける、一筋の流れ星。」
「おお、ルパン3世のテーマですか?いいですね。」
不動産屋は納得してくれた様だ。
コーポエリーゼを後にし、一応3件目の物件を見たのち、不動産屋に戻った。
「それでは8月1日からコーポエリーゼの105号室にご入居と言うことでよろしいですかね?」
不動産屋との諸々の手続きを済ませ。俺は帰宅した。コーポエリーゼに住んで、その人気の秘訣を探る。まるでスパイや探偵ではないか。演劇サークル仕込みの演技力が試されるな。私はまるでホームズやボンドの気持ちになって悦に入っていた。
8月1日。午前中に引越し業者に荷物を運んでもらうと、近くのファミレスで食事を済ませ、午後にエリーゼに向かった。
「人気のコーポエリーゼ、その秘密を暴き、欠点を浮き彫りにし、その評判を地に落とさせてやる。俺の毒牙にかかったものは生きては帰れぬのだ。ハッハッハ。」
などと妄想していると後ろから声を掛けられた。
振り返ると銀髪のショートカットの女だった。肩にはオレンジのマスコットを乗せている。イタイ格好だ。
「新しく越してきた方?」
「はい、怪々夢といいます。よろしくお願いします。」
「何やってる人?」
「アパート経‥俳優です。」危うくアパート経営と言いそうになってた。
「アパート系俳優?」
「ああ、売れない役者のことをアパート系俳優と言って、売れてる役者のことをマンション系俳優って言うんですよ。役者間の隠語ですね。」
私は目が泳がない様にするのに必死だった。
「へぇ、知らなかった、さすが役者さんだ。じゃあ、今度1人芝居用の脚本書いてくるから、演じてくれない?」
「1人芝居ですか?」
「できないの?」
「できます。」
「さすが役者さんだ。」
その一言を聞くと納得したのか女は足早に去っていった。
コーポエリーゼ、恐ろしい所だ。どうしよう、初日にしてすでに逃げ出したい。
5/8 雨の中
夕方から雨が降って知ってたけどさ。ここの所、映画館に行って外ればかり引いているので、こいつならイケるだろうと思ってずっと狙ってた映画、オッペンハイマー君に決めた。
ジムでのトレーニングを終え、早めの夕飯を済ませ、上演時間まで小説を読んで過ごす。
と、ここで問題が、予告編がいつ終わったか記憶がない。つまりいきなり寝てしまったのだ。その後も何とか寝ない様にするので必死。手すりにももをのっけて、何とか体制を保つ。お行儀悪いけど許して。
なんか2点3点するストーリーなのかな?状況が分かってないから頭に入ってこねぇ。でも役者の演技が最高なのは分かった。アマプラで始まったら絶対見るから許してね。
終わったのは22:45。雨の中電車を漕ぎ出した。
5/4 美術館
ゴッホとの相性が悪い。嫌いではない。好きでもない。ほら相性が悪い。
と言う訳で国宝・燕子花図屏風を見に行きました。
どう言う訳だって話だけど、通勤時にこの特別展のポスターを見る度に妙に引き込まれて、何が良いかを分析した時、この作者は明らかな天才な訳である。無駄を廃したデザイン、非の打ち所のない構図、暴力的なまでのコンストラスト。この作品が産まれた瞬間を想像すると、周囲のざわつきの声が聞こえてくるようだ。名品。言葉を変えると、上から目線でお高くとまっている。それに比べるとゴッホのヒマワリは親しみがあるんじゃないか?僕には才能は無いけど頑張っているよ。みたいな。そう考えるとゴッホアライブで買ったヒマワリのコースターも可愛く見えてくる。尾形光琳が意識高い系で、ゴッホが負け犬だとか言いたい訳じゃなくて、そう言う視点で見れば好きになれるかもなぁという感覚。その感覚を確かめるため根津美術館にレッツゴー。ところで本日、出かけ先に迷いがありまして、朝起きてから頭が痛い。マッサージ行っとこか?夏服も買いに行きたいよね。マッサージ行って、根津に行ってから、原宿行けるかな?が、根津美術館の最寄駅を調べてビックリ、表参道じゃん。すみませんね田舎者で。さて、表参道に降り立つと、人を掻き分け美術館に向かう。若者の街に突如現れる竹の生垣。粋である。お目当ての屏風以外も堪能できました。しかし本番はここから、根津美術館は庭園が凄すぎる。これ知らなかったの僕だけですか?大袈裟に言うと理想郷です。どこを見ても凄いんだけど凄いんだけどを連発してました。特に燕子花図屏風を見た後の生カキツバタの花は最高です。今が見頃らしいので根津美術館へ急げ。閉園時間が迫ってなかったらもっと見てたかった。でも物販品も見たいしね。物販コーナーでは「このミニ屏風良いけど高いね」と言うおじさんを横目に、弁当コーナーのおにぎりを手に取るかごとく事も無げにミニ屏風を掴む私。ミニ屏風なかなかオススメです。さてゴッホを好きになったかと言うと、燕子花図屏風を見てゴッホを好きになる訳ないじゃん?分からんか?
4/25 歯科検診
以前は一年に一回は必ず行っていた歯科検診。行かなくなったのは口に水が溜まるのが苦手で、喉元が苦しくなって、呼吸が上手く出来なくなって、えずいてしまったから。呼吸関係の苦しみはトラウマを産む。以来歯医者から遠のいた。それが何故また行こうと思ったのかと言うとそろそろ虫歯が出来ているんじゃないかと言う恐怖心から。恐怖が恐怖を上回る。小まめに水を吸引してくれそうな愛想が良さそうな歯医者を口コミで探して、予約する時も小まめに吸引してくれると助かります。と言う要望を伝えて、いざその日。アンケートに施術は怖いですかと言う項目があったので迷う事なくチェックを付ける。問診ではいきいきといかに苦手かと言う事を語る。手を挙げても水を吸ってくれなかったんですよぉ。と言うような話をする。診察台に行って口の中を診てもらったけど、どうやら虫歯もないし歯石もない様子。良かった良かった。しかしここから歯の清掃が始まる。よく映画で車ごと川に転落して水がどんどん侵入して来るシーンあるよね。あれ見てるだけで、苦しくなって来ませんか?口の中に水が溜まるとそんな感じになる。後もう少しすると溺れそうな感覚。目をつぶって全然関係ない事を思い浮かべようとする。だけど、呼吸が浅くなる。息を吸っても胸までしか循環しないで吐き出されるみたい。開けた口が自然としまっていってしまう。でも歯科助手さん?は一所懸命水を吸ってくれたし小さな口でもなんとか施術してくれた。俺はついに沈みゆく車からの脱出に成功したのだ。