人間の反射の速さには
いつも驚かされる。
例えば 空虚感で 口に出した
別れの言葉の 最後の一文字
言い放つ その寸前に
ふと我に戻されるのだから…。
言葉にすれば終わる
きっと わかっていた
でも 気づいた時には
もう全てが遅すぎたらしい
「わかった」
色の消えた世界で
その彼女のたった一言が
鋭く胸に刺さって 息がつまった。
そしてまた後悔をひとつ重ねる
僕に背を向けて歩きだした
あの日の彼女の姿が
今でも脳裏にやきついて離れない
例えば…
例えばの話。
- For example... -
ずっと 劣等感の塊だった
生きていたら
誰かと比べられて
他人のものさしではかられて
致命傷なのは自分が一番
そういう人間だったこと。
比べることばかりして
勝ち負けにこだわり過ぎて
自分の生きてきた時間も
努力してきたことも
本当の自分も見失って
気づいた時には何も残らなかった。
「自分の本当の敵は自分」
戯言くらいにしか思っていなかったけど
今ならわかる気がする
気づくまでに沢山時間はかかったし
性格もだいぶ歪んでしまったしなぁ…
って意味のない 空っぽの黒歴史を
思い出して苦笑いしかでてこない。
- Compare... -
青い空には太陽があるように
夜空には月があるように
雨の日には傘をさすように…
そんな 当たり前の事を考えながら
あなたに宛てた 想いに添える。
言葉は不便だ…
使い古された愛の言葉しかでてこない
マグカップの珈琲に
ミルクが渦を書いて混ざり合う
素直になれなくて
ミルクティーが似合わなくて
だけど こんな私を受け入れてくれて…
あなたが私に溶けて
優しい気持ちになれる。
きっと直接は言えないんだけど
あなたとわたしも
このカフェオレみたいに
そんな風にいたい…。
- カフェオレ -
アロマキャンドルを焚いて
ゆったりとした音楽を聴きながら
日記を書いて… 右側にはカモミールティー
現実は夜風にあたりながら
懐かしい洋楽R&B
弱音と愚痴の独り言の側には
銀色の缶ビール
素敵な夜とは程遠いけれど
ほろ酔いで布団に入って
少し満たされた気持ちのまま
「おつかれ」
そんな独り言にずっと救われて
明日も生きる為に頑張れる。
- ナイトルーティン -
命の分かれ道に立つ度に
何故か あの不思議な出会いを思い出す。
生まれて初めて死にたい…
そんな風に思った時に
あの人に出会った。
SNSで知り合った
3つ年上のRioさん
顔も身長もちっちゃくて
童顔でギャルっぽくて
猫みたいにコロコロ変わる気分屋で…
はっきり俺のタイプから遠い人。
きっと 「りお」ってのも本名じゃない
色々聞いても 上手く はぐらかされる
今思っても 謎が多い人。
気まぐれに呼び出されて
気まぐれに振り回されて…
9ヶ月は無意味で退屈な日常を
違う景色に変えてくれて
そんなRioさんを好きな自分がいて…
「うちの誕生日は12月23日」
唯一教えてくれた 嘘のない言葉
誕生日に小さなケーキを買って
あの人のいる町へ向かう
好きです… そんな言葉を添えて。
待ち合わせの駅にいない姿
繋がらない電話にメール…
死期を悟った猫みたいに
フッ っと彼女は消えてしまった。
今どこで 何をして生きているのかな…
寄り道みたいな その日々があったから
今もこうして なんとか生きている
もう俺も いいおじさんだなぁ…
苦笑いしながら
あなたがよくしていた
鼻と唇の間を人差し指で横に擦る癖
きっと この先も直りそうもない。
今日も生きている…
タトゥーみたいに
あなたとの出会いを刻んで
永遠に消えることはない
本当にありがとう。
- Dear... -