頬を撫でる冷たい風に
くしゃくしゃと枯れた枝の先
日が落ちるのも早いこの季節
寂しさを覚えますか?
きっとあなたは
冷たい風も手を繋ぐためだと笑い
枯葉の先の蕾に春を重ねて
星の美しさを知り
この季節をも愛でるのでしょうね
__枯葉
お気に入りはさきにいただきますか?
それともいちばんさいごきいただきますか?
おなかがすいていちばん
美味しいと感じる
さいしょか
満足感もともなういちばんさいご?
まあでも、わたくしは
お気に入りのものしかたべませんけれど。
__お気に入り
誰よりもやさしくて
誰よりもわたしのことを愛して
わたしと一緒にならない方が
わたしの幸せだと知っている
そんなあなたが
誰よりもキライだ
__誰よりも
今日のためにとここ数日は
甘い素材たちと向き合ってきた
完璧なものをきみに渡したくて…
練習通り作れればバッチリ…!
だったのに……
甘い素材たちはとても完璧と
呼べないものに変身した
食べれなくはない…
美味しいとも言えないし
可愛いとも言えない……
作り直す時間も素材ももうなくて
とりあえずラッピングだけは
ていねいに包んで家を出る
1日きみに渡せずに時間が
過ぎていく。
もうなかったことにしちゃおうか…
なんて思っていると
ばったり、きみに出会ってしまう。
期待している瞳に、忘れてた、
なんて言えるわけなくて
ひとことごめんねとだけ言って渡す
きっとがっかりしちゃうよね、
もっと素敵なものを貰ってるよね
そんなふうに思っていたら
自分のために作ってくれたことが
うれしいんだと笑うきみがいる。
その笑顔が眩しくて
真冬なのにわたしが溶けちゃいそう。
来年は一緒に作ってみようか
君は言う。
来年も一緒にいていいんだ
なんて素敵なイベントなんだろう…
__バレンタイン
大好きなきみに伝えたいんだ
丸くなって眠るきみに
おやつを美味しそうに食べるきみに
ぼくを見つけると走って
そばに来てくれるきみに
いつも癒されてるよ
あたたかくて柔らかいきみを
抱きしめて伝えるよ
だいすきだよ
それでもきみは
わん!としか言わない
伝わってるかなぼくの気持ち
__伝えたい