カーテンの隙間からこぼれる陽の光で
目が覚める
なんだかとてもあまい夢を見ていたような
ずっと想いを寄せたひとと
心が通じ合う…そんなあまい夢
夢の続きがあるならば……
と覚醒しきらない頭でふわふわしていると
枕元に置いてある携帯が
起床のベルを鳴らす
アラームより早く起きれて
ちょっとうれしいような、
そんな気持ちで画面をタップすると
夢に見たひとからのメッセージ
これは……
古典的だけれどすこし頬をつねってみたり
確かめてしまう
これがそうなんじゃないかって
夢じゃない
確かにあの魔女はそう言っていた
期限内に想い人と結ばれなければ
海の泡となって消えていく、と。
なぜ?
わたしは紛い物の足のまま
蜜月を過ごすふたりの船の上にいるのか
未練から亡霊になってしまった…
と思っても、素性の知れないわたしを
家族のように優しく迎えてくれた
あの方は、今も優しくわたしに微笑む
数秒の差ですれちがったその娘に
向けられる甘い甘い微笑を見る度
こんなことならいっそう
泡になりたいと願ってしまう
泡になりたい
砂浜に拾った枝でちょちょいと書くの
遠い水平線を見つめるあなたには
とどきっこないですもの
書いたもじは
あっというまに波飲まれて消えてしまう
気づいてほしい、
掴めない海と空の果てより
近くにわたしがいることを
波にさらわれた手紙
届けないならなにも届かない
想っていても伝えなければ
なにも思っていないんだ、と。
幾千の言葉から
貴方を想うこの気持ちを
じょうずに届けられるだろうか
言葉は紡がなければ言葉にならない
ひとつ選んで、これじゃない
これかもしれない、を繰り返し
はじめて言葉になる
すてきな“想い”があるのだから
すこしの勇気を持って
届けなくちゃ
届いて……
何度訪れても忘れられないのは
やっぱりはじめて来た日のことだと思う
幼い時に夢に描いた世界が
目の前に広がって、
憧れの海の景色の中へ自分も溶け込んだ日
あの日の景色