誰よりもやさしくて
誰よりもわたしのことを愛して
わたしと一緒にならない方が
わたしの幸せだと知っている
そんなあなたが
誰よりもキライだ
__誰よりも
今日のためにとここ数日は
甘い素材たちと向き合ってきた
完璧なものをきみに渡したくて…
練習通り作れればバッチリ…!
だったのに……
甘い素材たちはとても完璧と
呼べないものに変身した
食べれなくはない…
美味しいとも言えないし
可愛いとも言えない……
作り直す時間も素材ももうなくて
とりあえずラッピングだけは
ていねいに包んで家を出る
1日きみに渡せずに時間が
過ぎていく。
もうなかったことにしちゃおうか…
なんて思っていると
ばったり、きみに出会ってしまう。
期待している瞳に、忘れてた、
なんて言えるわけなくて
ひとことごめんねとだけ言って渡す
きっとがっかりしちゃうよね、
もっと素敵なものを貰ってるよね
そんなふうに思っていたら
自分のために作ってくれたことが
うれしいんだと笑うきみがいる。
その笑顔が眩しくて
真冬なのにわたしが溶けちゃいそう。
来年は一緒に作ってみようか
君は言う。
来年も一緒にいていいんだ
なんて素敵なイベントなんだろう…
__バレンタイン
大好きなきみに伝えたいんだ
丸くなって眠るきみに
おやつを美味しそうに食べるきみに
ぼくを見つけると走って
そばに来てくれるきみに
いつも癒されてるよ
あたたかくて柔らかいきみを
抱きしめて伝えるよ
だいすきだよ
それでもきみは
わん!としか言わない
伝わってるかなぼくの気持ち
__伝えたい
誰もがみな
同じ道を歩いていくことはない
自分ひとりまわりと違う道を
選んだからといって
間違えていることはない
胸を張って
誰もがみな自分だけの道を
歩くんだ
__誰もがみな
わたしの好きが詰まった花束を
わたしのためだと渡してくれる
次はもっと大きな花束をって
花畑に行こうかと約束をして
花束ごとあなたを抱きしめたい
__花束