私の特別は貴女だけだから、
あなたの特別も、私だけが良かった。
『私だけ』
幼稚園の時、間違ったことをして先生に怒られた。
凄く昔のことなのに、今でも表情だったりなんなりが
頭に浮かんできて苦しくなる。
小学生の時、勉強が嫌になってやらなかったり、給食を残すと怒られた。
宿題をやらなかったのは私が悪いと思うけれど
給食を残しただけで生徒を責める先生のことはどうかと思う。
中学生の時、授業で指名され、分からず答えられなかったら色々先生に言われた。
「小学校卒業した?」とか「小学生以下だよ」とか。
先生は冗談で言ったのかもしれないけれど、
私は本気で傷ついた。
学校以外でも、どんどん心の傷が増えていった。
親に、友達に、姉に、いろんな人に。
さまざまな人達に傷を負わされた。
私のことを知ったかぶって、私のことを全て知ったように。
私に言葉の刃を向けた。
その度に思ってしまうんだよ。
「お前になにがわかんだよ」って
『遠い日の記憶』
晴れの日の空は、
眩しくて鬱陶しい
曇りの日の空は、
真っ白で気持ちもスッキリしない
雨の日の空は、
めんどくさいなって思っちゃう。
朝日が出る頃は、
少し肌寒かったり
赤く染った夕焼け空は、
もう一日終わっちゃうんだって寂しかったり
でも夜空を眺める時は、
目が痛いほどきれいな景色
『空を見上げて心に浮かんだこと』
相手を傷つけて
自分を責め続けるのも
相手を思って
自分の全てを塞ぎ込むのも
過去に縛られて
今を必死に生きないのも
一旦考えるのをやめちゃって
それを全て乗り越えた時
大切な人たちに囲まれながら
人生の全てを、 終わりにしよう。
『終わりにしよう』
まだ学生の頃、
あなたはズタボロになった心を抱えながら
私に笑いながら悩みを打ち明けた。
あなたに襲いかかった出来事を話しているうちに、
あなたは隠した本音を零して泣いた。
あなたの涙をひとつひとつ辿っていたら、
いつの間にか私も泣いていた。
女子高校生ふたりが学校の屋上で泣きじゃくっていた。
乾きそうな涙を拭って、私はあなたの手を取り強く握った。
誰よりも優しいあなたがこれ以上辛い思いをしてしまわぬよう、
心の底から願っていた。
そう考えているうちに、また泣いた。
ふたり泣き腫らしたあと、
「ありがとう」って言われたことを覚えてる。
何年か前、
仕事をしている最中に
突然の連絡を受けた。
病院に駆け込んで、息を荒らしながらあなたに会いに行った。
あなたが倒れたと聞いた時は
絶望感を否めなくて、学生の頃みたいに焦りに焦っていた。
あなたはベッドに力無く倒れていたが、
笑顔を絶やさず私と接した。
無理して笑っているのをわかってしまって、つらかった。
あの時みたいに泣いて欲しかった。
ただ私に辛く感じたことや嫌だと思ったことを打ち明けて欲しかった。
ただ体が回復するのを願ったが、もうその願いは遅かった。
医者によると、頑張っても一日持つかどうかだった。
時間が経つ度弱っていくあなたの手を握ると、
涙が止まらなくなった。
子供に戻ってしまったみたいに声を出して泣いていた。
そんな私にあなたは手を握り返してきた。
生と死の境目に、私たちは初めて手を取り合っていた。
息をするのも苦しそうなあなたは、最期に言葉を放った。
「ありがとう」って。
『手を取り合って』