「先生。俺、貴方の様にはなれません。」
「あぁ、そんなのどうだっていいさ」
薬を砕いた音とそれに混じった貴方の匂い
何時忘れることか分からない
その匂いが好きで、追い掛けて、
追い付いたと思ったら居なくなって。
「...何故なんですか。何故貴方は、」
「君さ、私の匂いが好きで追いかけたんだろ。
だったら匂いが着くまで私のモノで居なさいな。」
「はい」
俺はまた、貴方に揺られる
--《ブランコ》
想像も付かない.何とも語れない.
此路は合っていたのか
何も知らずには残す事すら許されざる者と成る.
こんな者じゃ旅に盍出たくも無い.果てに,朽ちた私を知らぬ顔で路とする貴方の旅先が不幸であらんことを願いましょうか.
あぁ,憐れな主よ,己を残さずとして此処を去るとは,
余りに勿体が無いぞ.
--《旅路の果てに》
青くてさ、薄暗くて、でも暖かくて。
顔の見え無い貴方とベッドで過ごすのが日常らしくて、確かに触れられていたの。身を持って覚えているわ。本来なら見知らぬ相手、ましてや顔の見えぬ相手盍に身体を委ねた事実は不快に感じるだろう。
然し私に嫌悪感は無かった。寧ろ其れを愛好していた。愛されていた。愛していた。
そんなに思う程時間も経たずに其れは終わっていて、幸せな気分だった。
余りにも刺激的で、官能的なのに、顔の見えない貴方を目を覚ましたあとですら求めた。
思い返す程に死にたいと思えた。貴方を想えた。
満たされた私の顔。貴方はと伺ったはずの記憶は切傷のように消えていた。
愛してと言わんばかりの胸の高鳴りは、
たった一夜の夢物語。
--《こんな夢を見た》
抱きたくも無い恋心を貴方へ
たった数分の会話と一瞬の触れ合い。
貴方の手、冷たかった。でも頬は少し温かい。
私の手は貴方よりも温かく、頬は同じくらい。
「またね、お疲れ様」
たったこの一言
「ばいばい、またね」
この会話
さっきの出来事だけど、もう一度だけしたいな。
--《タイムマシン》
貴方を奪い去って
夢から覚めたんだよな
初めての其の景色
泪が出る
引用 : NEE 『第一次世界』より
--《特別な夜》