みんなみんな笑ってる。
けらけら、くすくす、げらげら。
なんで笑ってるんだろう?
笑えない僕がおかしいのかなあ。
みんなみんな笑ってるのに僕だけ笑えない。
『太陽がみ太陽』とか笑えない。
でも隣の席の女の子も、前の席の男の子も、なぜか笑ってる。
僕の視界から見える席の子だと息を切らして笑ってるみたいだ。
何がそんなに面白いんだ。
僕には分からない。
分からないのはおかしいのかな。
でも、全米が泣いた、っていうのは映画のCMでよくあるけど、実際には全米なんて泣いてないよね。だから誰もがみんななんてことはこの世にないって思ってる。
だから僕はおかしくないはず。
きっとそう。
こういう時の笑いって大体空気に流されて笑ってるんだよね。
でも僕って空気が読めないから笑えないんだ。
でも本気で『太陽がみ太陽』はそんなに面白くないと思う。
『誰もがみんな』
そうだ、花束を贈ろう。とっておきの花束を。
花束だ、花束が1番彼女に似合うだろう。
本数は多い方が喜んでくれるだろうか。
それとも花の意味を調べてから贈った方がいいだろうか。
彼女はキレイだった。花のように。そこら辺の雑草なんかとは大違いで、向日葵みたいな、他より頭1つ抜けてキレイだった。すらっとした身体にスズランのように白く透き通る肌、可憐な瞳、彼女の何もかもが私を魅了した。
彼女の声がどうしても聞きたくて、自然風を装ってわざとぶつかったら、そこらの人には到底出せない、綺麗な、綺麗な子をしていた。まさに鈴のなるような声、だった。
彼女の事が好きになった私は、何とか会話にこじつけて、数日後会う約束をした。
約束の場所はオシャレなカフェだった。彼女が指定した場所である。
カチコチになりながら先に座っていると、後から白い服に包まれてやってきた彼女が来た。
面と向かって話そうとするとどうしてもぎこちなくなってしまう。
彼女は店員にアイスティーを頼んで、私はコーヒーを頼んだ。
コーヒーは苦手である。だが彼女の前で頼んでしまった手前キャンセルなど出来ない。(というかカフェで頼んだ後にキャンセルなんてできるのだろうか?出来たとしても恥ずかしいのでしたくない。)
だからせめて砂糖をたっぷり入れて飲むと心の中で決意。
そんな決意をしている中無言の空気に耐えられなくなったのか彼女から話しかけてきた。
彼女の言葉は一言一句覚えたいのだがなにせお嬢様言葉なのでお嬢様という言葉に無縁な私は覚えることが叶わなかった。なので要約しながら語らせてもらう。
何故私をお茶に誘ったのかと聞かれ、とてもあなたが綺麗だったからと言ってしまった。
見た目で判断するクソ野郎だと思っただろうか。私に話しかけてくれたのにこんなクソみたいな回答で申し訳ない。
そうだったのですか、と微笑み受け流してくれた。なんて優しい方なんだ。そんな彼女にまた惚れた。
今度は自分から質問しようと思ったがなかなかいい質問が思い浮かばず、なぜか突然好きですと彼女に愛の告白をした。本当になんでだ。いくらなんでもムードと脈略が無さすぎる。言った瞬間から後悔した。あぁ、なんでこんなこと言ってしまったのだろう、普通もっと親交を深めてから言うものであろう。と自分を責めに責める。
するとまた彼女は微笑んで、私もですよ、なんて言葉を私に投げかけた。その時の感情と言ったら驚いたの一言でしかない。驚きと、驚きと、戸惑い、その3つである。
じゃ、じゃあ私とお付き合いを…?と聞くけば、ええ、とまた微笑んだ。
微笑む姿が女神のようだった。
そしてカフェから出ると私は花束を贈ることにした。
花屋について、桔梗の花束を彼女に贈り、正式なお付き合いが始まったのであった。
『花束』
どこにも書けない、誰にも言えない。そんなことって誰にでもあるでしょ?
もちろん、私にも、アンにもある。
でも、アンは教えてくれた。本当はみかん嫌いなんだって。小さい事だけどずっと言えなかったみたい。
アンは教えてくれたのに、私は言えなかった。
だって、アンがその事を教えてくれたなら、私は同じ程度のことを話さきゃいけないんだもの。
そういう悩みを打ち明けた人って大抵自分が不幸だと思ってる人だから自分より不幸な人が居ると今まで自分が自分を不幸だと思ってた文恥ずかしくなる。だから嫌みたい。
私だって自分がそういうこと言われたら嫌だ。
彼女がみかんの話をしているのに対して私が話すには重すぎる。
だから私はこの事を誰にも話せない。どこにも書けない。
『どこにも書けないこと』
「あ、材料ないや。」
今日は魔女として調合をしていた。
作っていたのはみかんが動き出して生命活動をする薬。
何を作っているんだと自分でも途中思ったがその時点ではもう引き返すことが出来ない状態にまで仕上がっていた。
その薬に必要なスライムの目玉が不足していたのだ。
魔法で出せないこともないのだが無いものを出すとなると魔力の消費が激しい。こんなスライムの目玉ごときで魔力を消費したくない。
なので街に買いに行く。
この世界での魔女は忌み嫌われていたりせず、普通に暮らし居てるのだが、私が人の顔をみるのが恥ずかしいためローブを被る。
紺色のおばあちゃんから受け継いだおまじないがかけられている特別なローブ。
これを被るとなんだか落ち着く。
赤ずきんみたいなかごに巾着に入っているお金をかごに入れて白い布で隠す。
ポケットに入れようか迷ったけど落とすと嫌だし、かごの中にした。
この家は森の奥で泥棒なんて来ないと思うが念の為愛猫に留守番を頼んで家を後にする。
愛猫に頼むのに取引として猫用の飴を頼まれた。ぐぅ。無駄な出費...。
街までほうきで30分。歩いて2時間。もうお昼なので今日はほうきで。
準備OK、いざしゅっぱーつ。
『街へ』
どうしてだ。
どうして明日が受験日なんだ。
もう明日だなんてびっくりすぎるよ。
あと全然勉強出来てないよ。
グループワーク面接とか気が引けて気が引けて仕方ない。
どうやったら...猫飼えるかな...。
『どうして』