思えば、人生は「楽しい」で構成されていた。
家族で行った遊園地、友達と映画みたり、大好きな漫画を読んだり、他人との他愛ない話などなど。
思い返してふふっと笑えるような楽しい思い出しかない。
…楽しかったなあ。
でも、これからは今以上に楽しいことが待ってるはず。
だから、だから今さえ耐えればいい。それでいいんだ。耐えさえすれば。
耐えれるかなぁ。
「次の方ー」
ごくりと唾を飲む。
来てしまった。
やつの順番が。
覚悟を決めて椅子に座る。
「はいチクっとしますよー」
そんな簡単に言うけどチクっとどころじゃないんだよ看護師さん。
感覚的にはぶすっなんだよぶすっ。
注射器を腕に突き立てられた。
目を閉じて見ないようにする。
どうやら終わったらしい。
耐えた!!耐えたぞ!!耐えられた!!
ご褒美にコンビニの新作スイーツ買ってこ。
『懐かしく思うこと』
清水寺の胎内巡りをした。
よくわかんないけど神様の胎内に入って出て生まれ変わるんだって。
結論から言うとめっちゃくちゃ怖かった。
元からまっくらとかが嫌いな私。
でも胎内がまっくらなんて知らなかったからお金を払って能天気に胎内巡りを始めた。
頼りは玉が繋がってる手すりみたいなやつだけ。あとはマジでまっくら。
ガチで怖かった。
途中で手すりみたいなやつから手を離して石に祈るやつがあるんだけど祈り終わった後に手すり全然見つからなくて
「え、や、やだえ、どこ手すりどこ!!どこ!!」
って叫んだ。
文字通り手当り次第探したらみつけれた。
後から一緒に胎内めぐった友達から聞いたけど外国人が私の事笑ってたんだって。私はその外国人の笑い声聞こえなかった。
『暗がりの中で』
今日は久しぶりに貴族になった気分でアフタヌーンティーなるものをひとりで開催する。
ホテルとかのあんな豪華なアフタヌーンティーじゃなくて、紅茶とスイーツ、ただそれだけのちょっと優雅な気分を味わえる、そんなひと時。
紅茶は茶葉がパックに入ってるタイプの市販で売ってるやつ。ちなみにアールグレイ。紅茶の種類はそれとフルーツティーしか知らない。スイーツはちょっとお高めだけどケーキ屋の季節のタルト。タルトに乗ってるフルーツはみずみずしくてとっても美味しそう。
タルトを映えそうなお皿に乗っけて写真をぱしゃり。
SNSとかには投稿せずにひとりで楽しむ。
あ、紅茶の香りに飼い猫も寄ってきた。
うん、優雅な時間の始まりだ。
『紅茶の香り』
「愛してる」
今日も彼女だけに捧げる愛の言葉。
でも彼女ってば照れ屋さんだから一言も返してくれない。
酷いなあ、と思わないことはないけれど、思ってもない言葉を無理強いは出来ない。
それでも、可愛い可愛い彼女が大好きだ。
明日も彼女だけにこの言葉を捧げよう。
いずれ彼女が目覚めてくれる事を祈って。
『愛言葉』
「んじゃ!また放課後校門であおー」
と手を振って去っていく私の友達。親友と言ってもいいのかな。
「うん、また」
と脇腹の位置で小降りに手を振って返す私。性格が真反対なのに友達として付き合ってくれている彼女は本当に優しい。また放課後も彼女と話せるかと思うと心が踊る。子供みたいにわくわくする。なんでこんなにわくわくするんだろう?
答えはすぐ出た。彼女のおかげだからだ。
そうして私は教室に戻る。教室の扉を開けて──
ぱち。
目が覚めた。おはよう、なんて言う相手も言ってくれる相手もいない。なんて悲しい現実。こんな現実捨ててすぐにまた夢の中へ戻りたい。幸せだったな、夢の中は。どうして夢は必ず覚めるんだろう。誰が決めたんだ。決めた奴に出会ったらどうしてやろうかと考えながら今日も一日が始まった。ゴミみたいな一日が。人類滅べばいいのに。なんで滅ばないんだ。どうせAIに支配される世の中が来るんだから早めに滅べ人類よ。滅ばないんだったら私に可愛くて優しい友達を下さい神様。自分で作れとか言わないでください。
クリスマスにも誕生日にも友達くれないとかどうかしてます神様。
ああ、今日こそ可愛くて優しい天使のような友達が出来ますように。
『友達』