ミヤ

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11/17/2025, 5:49:28 AM

"君を照らす月"

君を照らす月もまた、太陽によって照らされている。
太陽は自ら莫大な熱と光を生み出し輝けるけれど、
誰も太陽自身を照らしてはくれないんだね。

11/16/2025, 6:04:17 AM

"木漏れ日の跡"

調べ物をするために貴女と一緒に図書館に行った日。
ふと視線を上げると、本を開いたまま貴女がうつらうつらとしていた。
窓越しに木々を透かした日差しが入り込んで、
机も椅子も温かくて。
ぬくぬくとした席は、眠たくなるのも仕方無いよね。
柔らかな日差しに包まれて、髪や睫毛なんかがきらきらしていて綺麗で。
起こした方がいいのかな、と思いながらもほんの少しだけ、本から視線を外して貴女を眺めていた。


久しぶりに訪れた図書館。
いつも座っていた窓際の席は、時間が止まっているかのような錯覚を起こすほど変わりがなかった。
温められた机の表面にそっと触れる。
あの時、貴女は確かにここにいた。

11/15/2025, 2:58:08 AM

"ささやかな約束"

一緒に暮らすようになって間も無い頃。
扉を開けて"おかえり"と貴女を迎えると、大きく目を見開いた貴女はぴたりと動きを止めた。
あれ、と首を傾げる僕の目の前で、綺麗な瞳がじわりと潤んでいく。
唖然として見つめる僕に、貴女は"ただいま"と掠れた声で呟いて、ぎゅっと抱きついてきた。
どうしたの、何かあったの、と慌てる僕に、貴女は顔を上げないままゆっくりと首を横に振る。
そして。
帰りたい家ってこんな感じなのかぁ、と涙声で零して、笑った。

『いってきます』『いってらっしゃい』
『ただいま』『おかえり』
『おはよう』『おやすみ』etc……。
生家ではそういった類いの会話が全く無かったから、普通の、こうしたやりとりに憧れがあったんだと貴女は言った。
一方通行の言葉と無関心、あるいは暴力や蔑み、苛立ちに塗れた家はただの檻で、空っぽの入れ物でしかなかったと。

遠い昔、頬を腫らして玄関扉の前で膝を抱えていた貴女を知っている。
家に帰りたくないと、何処か遠くに行きたいと泣いていた貴女の姿を知っていたから。

だから、ひとつ、取り決めをした。
いつだって貴女の帰りたい居場所であれるように、
その第一歩として。
どんな時も、どんなに疲れていても、たとえ喧嘩したとしても、ちゃんと互いの目を見て挨拶をすること。
それが、貴女と交わしたささやかな約束、そのひとつ目となった。

11/14/2025, 4:27:22 AM

"祈りの果て"

願いも、祈りも、もう手遅れで。
叫びたかった言葉はとっくのとうに擦り切れた。
それでも。
目を閉じ、手のひらを合わせ、頭を垂れる。
それだけで何も変わらないと、もう知ってはいても。

11/12/2025, 6:53:02 AM

"ティーカップ"

薄くツルツルしている高級なものは大体が磁器製。
高温・長時間で焼かれてガラス化しているから、陶器のものよりも薄いけど硬度は高め。
それでも一点に強い力がかかると簡単に欠けてしまう。
破片の上を歩いたことがあるけど、体重をかけると更に細かく割れて刺さるから滅茶苦茶痛いんだよなぁ。
まぁ、磁器だろうが陶器だろうが、高かろうが安かろうが、破片が刺さると痛いのはどれも同じか。

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