"木漏れ日の跡"
調べ物をするために貴女と一緒に図書館に行った日。
ふと視線を上げると、本を開いたまま貴女がうつらうつらとしていた。
窓越しに木々を透かした日差しが入り込んで、
机も椅子も温かくて。
ぬくぬくとした席は、眠たくなるのも仕方無いよね。
柔らかな日差しに包まれて、髪や睫毛なんかがきらきらしていて綺麗で。
起こした方がいいのかな、と思いながらもほんの少しだけ、本から視線を外して貴女を眺めていた。
久しぶりに訪れた図書館。
いつも座っていた窓際の席は、時間が止まっているかのような錯覚を起こすほど変わりがなかった。
温められた机の表面にそっと触れる。
あの時、貴女は確かにここにいた。
11/16/2025, 6:04:17 AM