ミヤ

Open App
8/29/2025, 5:32:43 AM

"夏草"

刈っても毟っても生えてくる。
熱湯をかけようとしたら止められた。
塩を撒こうとしても、絶対やるなと止められたっけ。

もういいじゃん……。
何も育てず、定期的に草むしりするだけの空間ならもう草木一本生えない不毛の大地にしましょうよ……。

8/27/2025, 10:00:10 AM

"素足のままで"

"注文の多い料理店"にて。
靴の泥を落として、靴を脱いで。
次いで、靴下を脱いでクリームを塗り込んだ紳士二人は、床にペタペタとクリームの足跡をつけながら先へと進んだのだろうか。
もし首尾よく人間を食べることに成功したのなら、山猫は食べたあと床のクリームの跡を掃除するんだろうか。
その様を思い浮かべると、なんだかじわじわ面白い。

8/26/2025, 2:52:30 AM

"もう一歩だけ、"

"もう一歩だけ、歩み寄ってみないか。
そうすれば未来はきっとより良いものになる"

そんなことを言うあなたは、こちらに歩み寄ってはくれないんだね。
じゃあ、なんでこちらが譲歩しないといけないのかな。

所詮あちらとこちらは違う側。
あなたと僕の一歩の重さは違う。
あなたが軽く言うその一歩は、僕にとっては耐え難いものなんですよ。
あなたは知ろうともしないでしょうけれどね。

8/24/2025, 5:49:50 AM

"遠雷"

何処かで、低くこもった音がする。
真っ暗な窓の向こうでチカリと何かが瞬いた気がして、自席に向かう足をふと止めた。

窓を開けると、まだまだ暑い空気が湿気を伴って流れ込んでくる。
折角冷房効いてるのになんで窓を開けるんだよ、という同僚の非難を無視して耳を澄ませた。

風に乗って聞こえてくるのは、遠雷のような打ち上げ花火の音。
そう言えばもうそんな時期だったか。
毎年、花火大会開催のチラシを目にしているはずなのに、この音を聞いてようやくその存在を思い出す。

後ろからヒョイと顔を出した同僚の一人が口笛を吹いた。

「お、花火か。良いねえ。丁度キリいいし、あとは明日に回して観に行くか」

いそいそと片付けを始める姿に周囲からブーイングが巻き起こる。

「仕事を切り上げて遊んでたなんて知られたら、また奥さんの雷が落ちますよ」

「バレないバレない。落ちるか分からん遠い未来の雷より、現在の花火が大事だろ。あとビールと屋台飯。
……よし終わった、じゃあお疲れ〜」

野次が飛んでもなんのその。
鼻歌混じりに去っていく姿に、残った面々で顔を見合わせた。

「あいつ、死んだな」
「絶対バレるだろ。というかオレが密告してやるから怒られろ」
「俺も花火観に行きたいのにずるい」

騒ついた室内の空気に溜め息を吐き、開けた窓をパタンと閉じる。

「帰れる人は早上がりしたらいいと思うんですが。
まだ帰れない人も多いでしょうから、こっちはこっちで休憩がてら花火鑑賞しましょうか。
屋上の使用許可取ってきます。ひと段落着いた人から食べ物・飲み物持参で上がってきて下さい」

そう言うと、歓声が上がった。

8/23/2025, 12:08:01 AM

"Midnight Blue"

万年筆の洋墨の色。
黒よりも青系統をつい選んでしまう。

Next