7/7/2025, 6:31:17 AM
"空恋"
物語のように都合の良い雨を空に乞うても
一粒だって零れてくれない。
虚ろに見上げるこの瞳には、
空の濃い青はあまりに眩し過ぎる。
7/5/2025, 10:15:37 PM
"波音に耳を澄ませて"
ひたひた、と夜が押し寄せてきた。
近く、遠く。
インクのような真っ黒な闇が寄せては返し、
少しずつ意識を連れ去ろうとする。
無意識の海は目前に。
抗おうとする意思さえあえなく解けて。
とぷん、と闇に飲み込まれ、
深い眠りの底で淡く光る星の夢を見る。
7/5/2025, 6:57:49 AM
"青い風"
若竹色、青竹色、老竹色。
目にも涼やかな緑の間を風が吹き抜ける。
しなやかに揺れる竹の、サラサラという葉擦れの音に耳を澄ませる。
真っ直ぐに伸びた緑が天を覆い、
足元には葉を透けた光が淡くゆらゆらと。
外の喧騒は遥かに遠く、
まるで別の世界にいるかのよう。
夏の暑い時期になると、無性にあの竹の小径で癒されたくなる。
7/4/2025, 7:36:31 AM
"遠くへ行きたい"
どうしてもここがいい、ここにしか居場所がないと泣くのなら。
きみはどこにも行かなくていい。
僕がこの場を去るから。
きみが望む輪の中に僕は要らないから。
誰かを追い出してまで、この場所に留まる理由を見つけられない。
きみが執着した全てに興味が無いが故の選択を、
その無関心さを、
きみは傲慢と呼ぶのだろうか。
7/3/2025, 4:23:12 AM
"クリスタル"
琥珀色のウイスキーが注がれたロックグラス。
清酒の入った切り子のぐい呑みやお猪口。
酒蔵の方には申し訳ないけど、酔わない性質だから、正直、種類や味よりも容れ物の方に意識が向く。
さりげなく粋な細工の施されたグラスが出てくると、おお…、としばらく見惚れてしまう。