ミヤ

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5/10/2025, 11:29:02 PM

"静かなる森へ"

どれほどの時間が過ぎただろうか。
木々の隙間からのぞく蒼闇に、夜明けが始まったと悟る。
辺りが僅かに明るくなった頃、足元から発生した霧が見る間に高さと濃さを増し、視界一面を白く染めた。
灯を消して、木々に背中を凭せ掛ける。
視界が戻るまではこの場を動かない方が良いだろうと考え、静かに目を閉じた。

森の真ん中にあるという湖を見に来たはずだった。 問題は、自分の方向音痴を考慮していなかったこと。真っ直ぐ最短距離を選んだつもりが、とんでもない場所に入り込んでしまったようだ。

ひんやりした空気がふと緩むのを感じ、目を開ける。いつしか霧は晴れ、明るい陽光が射していた。
勢いをつけて背中を木から離し、歩き出す。
目的地まで後少しだ、きっと。

5/9/2025, 11:24:48 PM

"夢を描け"

小学生の頃、作文でこんな感じのお題があったなぁ。
最終目標はなるべく痛みのない終わりだとして。
その途中経過として、本と猫に囲まれた素敵ライフを送ることが夢だと書いた気がする。

"よく書けていますね"と褒められた後。
"それで、将来どんな職業に就きたいですか?"と聞かれたので、"自立できてお金を稼げる職業です"と答えたら、二度見どころか三度見された。
まぁ、ふわふわほのぼのした内容を書いていた奴が急に地に足のついた事を言い出したら驚くか。

どんな人でも、どんな立場でも夢を描くことは出来る。でも、夢と将来を混同できるのは余裕がある証拠だと思う。それか、よっぽど覚悟が定まっているか。空想はいくらでもできるけど、現実は世知辛い。

5/8/2025, 11:15:59 PM

"届かない……"

鏡に映った花、水面に輝く月。
雲の上、高嶺の花。
胡蝶の夢、夢幻泡影… は違うか。届かないというより儚さの喩えだった。
手の届かないものを酸っぱい葡萄とくさすことなく、綺麗な姿のままで見ることができるのは一種の才能だと思う。

5/7/2025, 11:19:20 PM

"木漏れ日"

涼やかな風と、葉擦れの音。
人の声は遥かに遠く、木々を透かした柔らかな陽射しが眠気を誘う。
本を読んでいたはずが、いつの間にかうとうとと微睡みの中にいた。

こちらに近付く足音に、ふ、と意識が浮上する。
抜き足差し足忍び足。
僅かに漏れる、隠し切れない笑みの気配に貴女だと直感する。
貴女ならいいか、と固まりかけた意識を再度微睡みに蕩かせた。

そろそろと近づいてきた足音が止まり、息を詰めるような間のあと、声を潜めて笑う気配。
ゆっくりと頭を撫でられる感触を最後に、深い眠りに落ちていった。

5/6/2025, 11:26:23 PM

"ラブソング"

明るい曲調で、先の無い階段を一段ずつ上がっていくような。
どこかで掛け違えて狂った歯車のような。
壊れた青い空のような、
そんな死へのラブソングを聴きたくなる日もある。
生への賛美を歌った曲が時々ひどく息苦しい。

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