紫雨

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8/25/2025, 2:42:27 PM

もう疲れた。そう思って今日もカッターに手を伸ばす。
切れた皮膚。流れる血液。これで生きてる実感を得る。
でももう、実感は湧かなくなった。感情がいろんな色になって、最後に黒く、もう戻らない色になってしまった私はもうこの世から必要とされてないもののように感じて、永眠すれば、全てから解放されるって自論を1人の世界で造り上げた。
このプロジェクトが終わったら飛び降りよう。あの飲み会の後に。あの人に想いを伝えた後に……
決意したはずなのに、あと少しだけ、あとちょっとだけ人生を進めてみようとする。人生はゴールが見えない。それは違う。ゴールを決めれない。人間に欲望がある限り、人生にゴールをつけることはとても難しいのだ。
初めて、ここまで堕ちてやっと分かった人生の意味。
私は、もう一歩だけ人生を進めてみることにした。


しかし、もう一度軌道に乗せるのは難しかった……

8/24/2025, 12:17:51 PM

ぼぅーっと道を歩いていく。街灯に引き寄せられるように次から次に知らない景色が出てくる。
あれ?こんなとこあったっけ?自分の感覚では軽く5分くらいふらっと歩いたつもりだったのに、そういえばなんで知らない景色?徒歩圏内のはずなのに、1人ぽつんと知らない街。
まるで、飛んで火に入る夏の虫のように、光に吸い寄せられた私はもう戻れない。そんな何かの主人公のような事を思いながらスマホの地図を見る。そこにはこう記されていた。
自宅まで徒歩3分。

8/23/2025, 4:08:00 PM

パッと一瞬一筋の光が刺したかのように空が光った。
まるで天国からの迎えがきているかのようだった。
その数秒後今度はゴロゴロと空が何かを訴えているかのように鳴った。
その声は、まだこちら側に来るのは早いと言わんばかりの音だった。
今日も変わらぬ景色の中で、こんなにも私の心を掴む空模様はなかった。病室の窓の外を眺めて私は思う。
ここまで、天使が迎えに来てくれないだろうか、私に最初で最後のスポットライトを天から当ててくれないだろうか、と。そう考えては、涙が止まらなくなり気づいたら、また変わらぬ景色がそこにあった。

8/22/2025, 4:48:10 PM

夜の街を静かに歩く私の背後に、黒い闇が近づいて来る。
その闇は単なる深い闇ではなく、何処か儚い人間の欲が詰め込まれた本能の闇だった。
場所は歌舞伎町。人間の欲が闇となって渦巻く魅惑の街。
私はそこで今日もお客と深く落ちていく。お客を深い、闇に引き込む。私の闇に、魅力の渦に落ちていく客を見るのが私の生きがいとなっているくだらない人生に色の名前をつけるのなら、絶対にMidnight Blueだろう。
私は、闇にすっと綺麗に消えていった。