「飛べない飛べないってね、
あなたまず飛ぼうともしていないじゃない」
そんな言葉が思い浮かんだ。
私にはみんな楽しく飛んでいる―――みんなが楽しく日々を過ごしていて、自分ばかり地面にうずくまっている、と思った日々があった。
みんなは気楽に謳歌していそうに見えて、自分は惨めだと思った。
けれど、ある時気がついた。
みんな、苦労を表立って見せないようにしているのだろうな、と。
きっとみんな何かしら抱えているのだろう。それを見せないようにしている上で、更に努力をしているのだ。
それなのに、翼に重石がついているから。みんなより羽が小さいから。私には飛ぶ能力がないから。
などと理由をつけては、空を目指して飛ぼうとも―――幸せになるための努力もしなかったのだ。
いつか自分もいきなり幸せになれるのではないかと何もせず期待していたのだ。
そんなことに気がついてからは、見え方が変わった。
幸せそうにしているあの人も、もしかしたら辛い思いをした事があるかもしれない。
考え方も変わった。
辛い思いがあっても、きっと日々は楽しめる。そのために何をしたらいいのだろう?と、考えるようになったのだ。
飛ぼうとしなかったあの頃より、曲りなりにでも少しずつ飛べるようになったと感じる今は、ずっと楽しい。
飛べない翼
ススキが揺れている。
夕日に照らされている。
群生しているススキは、空に浮かぶじゅうたんのようにも、金色の海のようにも見えた。
風に吹かれ、ざわめいている。
ざぁーっと聞こえる音は、
わたしを静かな世界へと誘うようだ。
眺めていると、空が暗くなってきた。
橙色の次は、藍色の空の世界。
藍色と橙が混ざったような空に、
さわさわと小波になっているススキ。
きっとこれからは、静寂の時間。
ススキ
海に沈む夕焼けを見た時の驚き。
空はオレンジから青のグラデーション。
雲がぽつんぽつん。
海に見えるのは、手前から夕日に向かって水面にすーっと伸びる、光の道。
キラキラと輝いていて、希望への道みたい。そう思ったのを覚えています。
私は海なし県の住人なので、そのような景色は初めてみたのです。
今でも脳裏に焼き付いている景色。
そのような景色を見れた感動。
あなたの脳裏に浮かぶ感動した情景は、どのような景色ですか?
脳裏
意味がないことって何だ?
無駄とは違うのか?空っぽなら意味がないのか?私には全く分からない。
無駄と言われる、だらだらと過ごすことだって、暇な時間を過ごすことだって、そこに意味を見出そうとすれば「休んでいる」という意味が出てくるのでは。
と思うのだ。
今日は皆既月食。今はこれを打ちながら、月を辛抱強く見ている。
月を見ながら、空白のように心を空っぽに出来ないかと試みた。
そうすれば「意味のない」時間になるのでは?という期待。
ここで言う意味のない時間、とは、
何も考えず無になる時間である。
しかし私という人間は、今回の題、なんて書こう……皆既月食を見る経験って貴重だよね。ロマンチックだな〜などと考えてしまい、全く空っぽの心にはなれなかった。
全てのことに意味がある、と思っているのが私である。
赤くなった月を熱心に何分も見上げて、「赤い月だ!珍しい、なんて綺麗なの!この経験はきっと糧になる……。」と意味を見出そうとしている。
そんな私には今回の題は難しかった。
今回はこの辺で。
意味がないこと
「あなたとわたしって、違う個体よね」
「うん、そうだね。どうしたのいきなり。また何か考えた?」
「人間という同じカテゴリで括られると、なんだか自分と同じような生物であるという錯覚をしてしまうの。自分と同じように考えるだろうって感じかしら。それを最近、反省してたの」
「ふぅん。まあ同じように考えるだろうって言うのは、僕も心当たりはあるな……」
「でしょう。でも本来違う思考や性質を持った違う個体のはずじゃない」
「そうだね」
「期待をしちゃうのかしらね。期待って、自分だったらこうするのに、相手はそうしないのねっていう失望に繋がる危険性があるわよね。そういうことを反省して、期待をしたと思ったら、期待をしたと自覚するようにしたの」
「へえ、それでどうだった?」
「他人との違いがよく見えるようになったの。違うのだから、同じ振る舞いをしなくて当然ね。と思えるようになったのよ。心の余裕ができたのかしら」
「そうなんじゃないかな。それはいいね」
「あなたとわたしってそれぞれ違うのだから、一緒にいて刺激があるわよね。それを楽しめるといいわね」
「そうだね」
あなたとわたし