「あなたとわたしって、違う個体よね」
「うん、そうだね。どうしたのいきなり。また何か考えた?」
「人間という同じカテゴリで括られると、なんだか自分と同じような生物であるという錯覚をしてしまうの。自分と同じように考えるだろうって感じかしら。それを最近、反省してたの」
「ふぅん。まあ同じように考えるだろうって言うのは、僕も心当たりはあるな……」
「でしょう。でも本来違う思考や性質を持った違う個体のはずじゃない」
「そうだね」
「期待をしちゃうのかしらね。期待って、自分だったらこうするのに、相手はそうしないのねっていう失望に繋がる危険性があるわよね。そういうことを反省して、期待をしたと思ったら、期待をしたと自覚するようにしたの」
「へえ、それでどうだった?」
「他人との違いがよく見えるようになったの。違うのだから、同じ振る舞いをしなくて当然ね。と思えるようになったのよ。心の余裕ができたのかしら」
「そうなんじゃないかな。それはいいね」
「あなたとわたしってそれぞれ違うのだから、一緒にいて刺激があるわよね。それを楽しめるといいわね」
「そうだね」
あなたとわたし
11/7/2022, 10:47:09 AM