徒然

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2/2/2024, 5:02:53 AM

何を書いても良い
とあるので書きたい。

ブランコって良いですよね。

幼少期、ブランコは人気の遊び場だった。
子供達にとってブランコは特別で、保育園でも小学校でも、休み時間には行列が出来ていた。

前後に揺らして、何処まで高く漕げるかをやったり
立ち漕ぎで靴飛ばしをしてみたり
エビ乗りという、2人乗りで遊ぶのも流行ってた。
エビ乗りでは立ち漕ぎの子の方が技を掛けてくれるんだけど
上手な子が居て、人気だったな。

大人になると遠ざかるブランコ
だけど、大人だって乗りたい時はあって
憧れというのか
住宅街の一角にある公園で
夜にお酒を1人飲むのなんか、哀愁漂うのもやってみたい
友達とブランコに座ってダベるだけの懐かしい時間や
恋人に背中を押して貰うなんて行為もやってみたい。
大人は大人で
子供時代とは違ったブランコの遊び方が
付き合い方があって
それもきっと楽しい。

最近公園自体が減ってきて
危ないからとブランコは取り外されているなんて事もある
時代の変化には逆らえないのだろうが
寂しさを感じてしまうのは私だけではないだろう。

大人になって分かったのは
幼少期の様に純粋な気持ちでブランコを楽しめないという事
これは年齢には逆らえないという話。

昔あんなに好きで、並んでまで乗っていたブランコが
今は乗りたくても乗られない
手の届かない存在になっている。
これはそもそもブランコが少ないという話ではない。
もちろんそれもあるのだが、個人的な問題
共感してくれる者は居るだろうか。

私はブランコが好きだ
とても好きだが、私の身体までそれが好きとは限らない
大人になり久しぶりに乗ったブランコは
いつの間にか楽しい遊具から地獄の遊具に変わってしまった
いや、変わったのは私だ

ブランコ
それは前後の揺れを楽しむもの
どれだけ高さを出せるかの自己の限界を確かめるもの
そして大人にとってそれは
三半規管を狂わせる存在なのだ。

詰まる所ブランコ酔いだ。


大人になってもわかったことは
フィクションで見る大人達とブランコの関係性
あれがフィクションである本当の部分は
あんな関係の友人や恋人が居ない事でも
1人黄昏ながら酒を飲む為の公園がない事でもなく
そもそもブランコに乗る事ができないという所にあったのだ

その事実に愕然としながら
楽しそうにブランコに乗る子供の姿を今日も眺めた。
純粋な笑顔での「一緒に乗ろう!」が
今では悪魔の囁きに変わってしまった。

#ブランコ

1/22/2024, 5:34:18 PM

タイムマシンがあったら
未来を知りたいか
過去を変えたいか

私は変えたい過去が沢山あるけど
やっぱり変えないと思う
だって変えてしまったら
現在が変わってしまうから

過去を変えた所で
心に負った傷は消えなくて
事実が変わっても
私の身に起きた事実は消えない

辛い経験があった
嫌な事があった
変えたい過去がある
消したい過去もある

けれど全部が私を形作る要素で
全部が現在の私の未来に繋がっている
だからきっと過去を変える事はないだろう

そして未来を見にいく事もしない
知らないからこそ楽しいから


それはそれとして
過去の事実を
この目で確かめたい気持ちはあるね

昔行ってた駄菓子屋さんの屋根の色を確認したいとか
初恋のお兄さんの顔を拝みたいとか
そんな記憶の端の疑問も

ピラミッドがどうやって作られたのか
ケネディ暗殺の犯人は誰なのか
UFOがアメリカに来ていたという話は本当か
なんていうオカルトチックなミステリーも

どれも現在では確かめようが無い過去で
変えたい過去を変えられる訳もなく
どれも出来たら良いなのお話で

その妄想を楽しいと思えるかどうかの話
私はこんな大層な事を言ってみても
やっぱり変えられるなら変えたい過去が沢山あって
変えられるならを考える度に
辛かった過去を思い出しては苦しくなる

本当にこの手にタイムマシンが手に入ったら
私は過去を変えてしまうかもしれない

それが現在を変える大きな事柄だったとしても
自分の運命が全く違うものになるのだとしても

それで私は救えなかった私を救えるかもしれないから
縋るものがそれしか無いのだから


#タイムマシーン

1/19/2024, 5:46:39 PM

君に会いたくて走らせた自転車
君に会いたくて終わらせた宿題
君に会いたくて済ませた片付け

君に会うために家の手伝いをして
君に会つために兄弟の面倒を見て
君に会うためにおつかいに行った

君にとっての僕の存在なんてちっぽけで
君にとっての僕はたまの遊び相手で
君にとっての僕はよく来る子供で

それでも僕は君に会う為に頑張れた

君に会いたかったから
君と遊びたかったから
君と触れ合うのが
僕にとっては何よりも楽しみだった

学校で嫌なことがあった時慰めてくれた事も
友達とケンカしても仲直りが出来たのも
君のおかげ
君が居たから僕は頑張れた事沢山あるんだ

君は大袈裟だって思うかな
だけど僕にとっての君は
それくらい大きな存在だったんだ

最近の君はすっかり寝たきりになってしまって
それでも僕が遊びに行くと嬉しそうに笑ってくれた
それが嬉しくて堪らなく悲しくて
そんな君の姿を見るのが辛くて
段々足が遠のいてしまったよ

君の容体が急変したと聞いて
駆け付けた最期のあの日
それでも君は僕を見て嬉しそうに
笑ったような気がしたんだ

僕が君にかけた
「もう、大丈夫だよ。今までありがとう」
という言葉を聞いてか
そのまま眠りについた君を
僕はちゃんと笑顔で見送れたかな

ありがとう

僕は君に会えて幸せだったよ
僕は君に会えて楽しかったよ

君に会うために自転車で走ったあの道を
僕は泣きながら帰ったあの日を
これからも忘れない

今までありがとう
さようなら

僕が君に会うのはまだまだ先だけど
君にもう一度会いたいから
僕にその時が来たら
橋の袂で待っていて欲しいな
その時はもうヨボヨボで走れないかもしれないや
君は僕の事わかんなくなってないと良いな
わからなくならない様に
空の上から眺めていてくれよ

僕の大好きな友達
僕がもう一度君に会いに行く
その時まで

もう一度会えたその時は
また一緒に散歩へ行こう

#君に会いたくて

12/29/2023, 4:36:07 AM

空っ風が吹く寒空の下、開けていたコートのボタンを留める。
風が冷たいが気温は高い。年末だというのに春頃の気温だと言うんだから、今年の冬は異常だ。

大きな荷物を抱えた小学生達が歩道で楽しそうに追いかけっこをしている。
近くに小学校があり、ここは通学路だ。この時間普段は通らないのだが、丁度下校時間に当たるらしい。

ランドセルパンパンに荷物を詰めている子、大きな荷物を複数持っている子、中身のなさそうなランドセルだけの子……。
あれは…絵の具セットと習字道具か。3年生位と思われる男の子がそれらしきバッグを持っている。手にはお道具袋もあり、ランドセルは蓋が閉まっていない。どうやらまとめて待って帰っているようだ。
昼過ぎの下校時刻。随分早いと思ったが、今日は終業式なのだろう。荷物が無い子は計画的に持って帰っていて、荷物を持って帰っていなかった子は、こうして終業式の日にまとめて持って帰っているんだろう。前々から持って帰れと先生にも親にも言われるというのに、何故こうなってしまうのか。
しかし思い返してみれば、自分もそうだった。終業式の日に小さいランドセルぎゅうぎゅうに荷物を詰めたものだ。
幸い教科書なんかは毎日持ち帰りだったから、その日は殆ど荷物が無くて。ランドセルに鍵盤ハーモニカを入れ、手には習字セットを突っ込んだお道具袋と、絵の具セット。工作で持って帰らなかった巨大貯金箱とジャンパーを抱えて帰っていた。
友人と自分の方が沢山持って帰っているなんてくだらない張り合いをしたりして。
勉強は好きじゃなかったけれど、そういう事の全てが楽しくて今では良い思い出として残っている。

春から子供が小学生だ。

学区が違うので、あの元気な子供達と共に登校する事は無いが、あんな風に友達を沢山作って楽しんで欲しい。
うちの子も、長期休みの前に荷物を抱えてくるだろうか。
夏休みに入る時が見ものだな。アサガオは今の子も育てているんだろうか。夏休み中に枯らせてしまったのは私の苦い思い出。担任に怒られたっけな。

冷たい風と子供達の笑い声が、私を懐かしい記憶へと誘った。
冬休みが始まる。年末が来て、新しい年が来る。

子供達の賑やかな声に今年も良い年になった気がした。


#冬休み

12/23/2023, 5:38:42 AM

何処からともなく柚子の香りが漂う夕刻
駅前の古びた商店街は、全盛期にこそ劣るものの現代では珍しい程活気ついている。

今日は仕事でミスをしてしまった同僚のフォローに追われ昼終わりのシフトだったのがこの時間だ。辺りはすっかり陽が落ちている。まだ午後5時を過ぎた所だと言うのに街頭が無ければ真っ暗だろう。

都会から少し外れただけで、田舎と言うほど田舎でも無い、古き良きが残るこの町が私は気に入っていた。
駅を出て、商店街のアーケードを通りながら、今日はお惣菜でも買って夕食にしようと決めた。
定食屋から漂う良い匂いに釣られてしまいそうだが、今日は消費しなければならない作り置きがある。メインのおかずだけ買って、冷凍してある白米を温めて食べよう。流石に疲れたので、何もしたくない。

それにしても今日は随分と良い匂いがする。柑橘の香り…この香り知っているが、パッと頭に出てこない。なんだったか。
疲れたせいか頭が回らず、いつもならすぐ出てきそうなこの香りの正解を探しながら、行きつけの肉屋へ立ち寄った。
ここのコロッケが好きでよく買いにくる。今日はガッツリメンチカツも悪くない。さてどうするか。
目に入ったのは柚子入りコロッケ。あ。と頭の中で繋がった。

「それは今日だけの特別商品柚子コロッケだよ。サッパリして美味いから1つどうだい?」

奥から出てきた店の息子が私に言った。時期店長の跡取り息子だ。私が通うからよくおまけをつけてくれる有り難い存在。

「今日だけ?」
「そう。今日だけ。ほら、今日は冬至だろ?だからってんで、母さんに言われて。あとカボチャコロッケもおすすめ、今日は冬至だからってみんな食べるんだ。残り2つ、それで最後だからどっちも買ってかないか?」

そうか。今日は冬至だった。すっかり忘れていた。
町に漂うこの香りは、柚子の香りなんだ。
商店街の上の階は住宅の家が多い。何処もこの時間柚子風呂に入っている。思えば商店街で黄色い物を沢山見かけた気がすした。あれも柚子だったんだ。

「じゃあ、かぼちゃコロッケ2つと柚子コロッケ1つ」
「あいよ。少々お待ちを」

息子は紙袋にコロッケを詰め、お金を受け取ると裏に引っ込み再び出てきた。手にはビニール袋を下げている。

「はい。じゃあこれコロッケと、柚子のお裾分け。あとこれはオマケ。揚げたてコロッケ。火傷しないように」
「わっ、沢山……。ありがとう」
「まいど、気を付けて帰るんだぞ〜」

手から伝わる熱々のコロッケの熱が優しさをじんわりと広げていく様に。噛み締めながら頬張った。

「あっつ」

ザクザクの衣と中のホクホクしたジャガイモの食感を楽しみながら、家路につく。
この歳になって食べ歩きながらの帰宅。青春時代に戻ったようだ。
そして、それを違和感なく出来るこの商店街の雰囲気が好き。町では誰かが食べ歩きをし、店先では井戸端会議が開かれ、ベンチで帰宅前の腹ごしらえをする学生が居る日常。

それを微笑ましく眺めながら、商店街を抜けて路地を曲がった所にある小さなアパートに帰ってきた。

買ってきた物を台所に置き、湯船を溜める。
夕食の支度をし、作り置きのおかずとコロッケを堪能してから、風呂へといった。

湯船に入るのは久しぶりだ。いつもシャワーで済ませてしまうから。
年末前にと早めに行った風呂掃除がこんなタイミングで役立つとは思っていなかったが、溜まった湯船にお裾分けの柚子を浮かべた。
先に身体を洗う。温まった柚子が次第に香りを放ち、風呂場は柚子の良い匂いで充満した。

ゆっくりと足から入浴し、肩まで浸かるとじんわり身体が温まっていく。オマケのコロッケを食べていた時と同じだ。
優しさに包まれて身体に染み渡る感覚。久しぶりにゆっくりと入浴した。

今日は特別だ。残業して頑張った自分へのご褒美。
同僚のミスだって、みんなでカバーしたからどうにか出来たんだ。それで良かった。私もそれに文句は無いし、みんなも文句は言ってない。誰かに優しく出来た。誰かに優して貰えた。今日はその優しさを噛み締める日。そんな事を思いながら、柚子の香りを全身に纏う。

こんな日もたまには悪くない。

#柚子の香り

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