徒然

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12/19/2023, 4:27:46 PM

一人で居るのが当たり前だったから
誰かと共に過ごす事を知らなかった

一人で居るのが楽だったから
誰かと居る楽しさを知らなかった

一人で居るのに慣れてしまって
君と居ることが特別だった

一人で居る事が当たり前だったのに
君との時間が当たり前になっていた

一人で居る事なんてなんとも無かったのに
今は君が居ない事がこんなにも悲しい

僕の隣に居る君が当たり前になってしまって
空いてしまった横の埋め方がわからない

空いてしまったこの空虚が
″寂しい″という感情なのか


#寂しさ

12/18/2023, 3:42:33 AM

 とりとめもない話をしよう。
 そう言って語り始めるとしたら、何が正解か。

 このテーマを見たのは深夜2時を過ぎた時だった。最近寝るのがすっかり遅くなってしまってダメだなと思いながら、布団に潜る。
 昼間は暖かったのに夜はすっかり冷えてしまって、包まった布団の中でこのテーマについて書く内容を考えていた。
 とりとめのない話。とりとめないとは何か。
 まぁ、目覚めてから何を書くか考えていたことの8割は頭から抜けてしまい、今書いているこれも書こうとしていた内容だったかも怪しい。
 覚えていた2割は、このように「とりとめのない話について論ずる」事と、冒頭に書いた「とりとめのない話をしよう」という文だけ。
 それで2割が埋まるのだから、元々考えいた内容の薄さが目に見えている。それでもしっかりオチまで考えていたんだから、寝る前としては上出来ではないだろうか。

 そもそも「とりとめのない話」というのは何なのか。
 今や私の辞書とかしているこのスマートフォンで検索をかけてみたところ「まとまりや結論が無く、バラバラした内容」と出てきた。類語として「たわいない」「よしなごと」「漠然とした」「取るに足らない」などが挙げられるらしい。
 私の中で「とりとめのない話=たわいない話」類語を=で繋いで良いのかという疑問はさておき、そういう認識があった事は確かなので、言葉の意味として知っていた事と差異が無かった事は良かったが、取るに足らないも類語となると急にこの言葉がマイナスなイメージなように感じられてしまう。

「たわいない」では、和気藹々と、気心知れた、朗らかな雰囲気、落ち着いた、などの印象が挙げられる。
 たわいない話と聞くと、これと言って内容はないものの悪い話をしている印象は無いだろう。
 しかしどうだろうか、これが「取るに足らない」という言葉に変えられると……急に会話の内容が不必要な物だった様に思えてしまう。
 内容が全く同じだったとしても、何を話したのかという問いに対しての答えが「取るに足らない」だったとしたら、そこで過ごしていた時間が無意味だったと、楽しくはない物だったようには思えないだろうか。

 これは受け方次第なのかもしれないが、少なくともそういう受け取り方をしやすい、誤解される可能性が高い言い回しではあると思う。
 普段の会話では気にならないかもしれない。会話なら「取るに足らない話だったよ」と返された場合「つまらなかったの?」と聞き返せば良い。そこで楽しい話だった場合は「いや、とても有意義な時間だった」とでも言えば良いのだから。
 気を付けねばならないのは、文章の時。
 例えば小説で「取るに足らない話をした」という人物の行動描写があったとする。読者はその一文から「この人物にとっても有意義ではない時間だった」と解釈するだろう。しかしこれが「たわいない話」と書かれていたら「この人物にとって有意義な時間を過ごした」と解釈出来る。
 同じような意味でも言い回し一つで印象がこうも変わってしまうのだ。やはり日本語というものは、難しくて面白い。奥が深いとも言える。

 さて、とりとめのない話をしようと言った私のこれはとりとめのない話になったのだろうか。
 この話が読み手の貴方にとって「たわいない話」になったのか「取るに足らない話」になったのか。
 出来れば前者であって欲しいと願うばかりだ。

 しかし、オチがついてしまった。これではとりとめのない話とは言えないだろうか。
 取り止めのない話をしようとしてするのは、案外難しい事なのかもしれない。

#とりとめのない話

12/16/2023, 7:40:23 PM

風邪をひかなくなった。
大人になったから…だろうか。わからない。
免疫力がついたのは確かなんだろう。

学生時代「木を張っていれば風邪はひかない」と言われた。
根性論と思われるかもしれないが、そうじゃ無い。
気を張っていると、自然と抵抗力がついて風邪をひかない。悪化しない。確かそんな話だった。
とは言ってみたが、やはり根性論なような気もする。
実際科学的根拠があるかどうかは知らない。
知らないが…なんとなくそれは実際そうな様な気もする。

社会人になって、風邪をひく事が憚られた。
正確には風邪をひいて、仕事が出来なくなってしまう事が。
会社を休むという行為が苦手だった。
会社に限らず学校もだ。
自分で欠席の連絡を入れて、休むという宣言をして休暇を取るのが苦手だ。
だから死ぬ気で風邪をひかないようにした。
大学生の頃はよく体調を崩して休んだ。
精神的なストレスによるものである事はわかっていた。
だが、大学は欠席連絡が要らない分、少し気が楽だった。

転職をしたが風邪はひいていない。
前の会社より休みは取りやすい環境になったが、やはり仕事を休むという行為がどうしても苦手らしい。
たった一言「体調が悪いので休ませて下さい」が言えないのだ。
それを言う事が精神的に辛くなってしまう。
だったら何がなんでも休まない様に身体を整える。
その為に具体的な何かをする事は無い。
ただ、手洗いうがいを徹底するとか、マスクを着けるとか。
誰もが出来る対策だけ。
風邪っぽいと思ったら、早めに薬を飲むとか、のど飴を舐めるとか、本当にその程度。
だが誰よりも「風邪をひきたく無い」という気持ちは強いと思う。

病は気からという言葉がある様に、死ぬ気で風邪をひきたく無いと考え思い込むと、人間本当に風邪をひかないのかもしれない。

ここ10年を振り替えってみても風邪で寝込むような事は片手で収まる程だ。
それも1日、2日で回復するものだけ。大きなものはない。
寝込んだ時も微熱程度。そして、それにより私は「どうしても参加したくない行事」に参加をしなくて良くなった。

病は気からもいうが、本当にその通りなのだろう。

私は風邪をひいて休むことよりも、風邪を引いてでも参加したくない行事に出なくて済む事を取ったのだ。

メンタルが身体に与える影響はかなり大きいというのがわかるだろう。

だからこそ思うのだ。
案外根性論とも思える「気を張っていれば風邪はひかない」という教師の言葉は、あながち間違いでも無いのではないかと。

#風邪

12/16/2023, 4:03:34 AM

大寒波が来るらしい。
いよいよ冬が来たと、そう思いながら俺は炬燵の準備を始める。
なんとなくまだ良いだろうと後回しにしていたが、夕方4時の時点で既にかなり寒い。古い木造住宅の我が家の戸を風がガタガタと揺らしていた。早く出せとせっつくように。急がねば、寒さが一気にやってくるぞと。
押入れにしまっていた炬燵布団を引っ張り出し、天板を外して乗せる。
机自体はオフシーズンも使っていたので、留め具を外して布団を挟むだけで良い。机を出す手間も片付ける手間もないこのタイプは、一人暮らしの俺には丁度良かった。
なんとかセットし、炬燵のスイッチを入れる。このまま入ってしまいたいが、そうしてしまうと出られなくなる未来が見えているので、ここは堪えた。

炬燵を背にし、夕食の支度をする。今日は鍋焼きうどんだ。冷える日の晩にこれは美味い。
1人分の小さな鍋で具材を煮る。冷凍庫からうどんを取り出し、頃合いを見て共に煮込んだ。
グツグツと音を立てる鍋に気を払いつつ、鍋敷きを置き、箸とレンゲを出す。
少し早めの夕飯だったが、作っているとお腹が空いてきた。

開けっぱなしになっていたカーテンを締めながら窓の外の様子を見た。風が強くなってきた。窓の隙間から入ってくる冷たい空気が冬であると事を思い出させる。
雪は降るだろうか。今年はまだ降ってない。

冬は好きじゃ無い。車も窓も水道まで凍ってしまう。豪雪地帯では無いにしろ、毎日の様に降る雪のせいで雪掻き掻きは必要だ。
でも嫌いじゃない。

冬はあの子の季節だ。

雪が降ると現れる色の白い女の子。
初めて会ったのは幼少期。祖父母の家だったこの家に遊びに来た時の事。
冬休みの時にだけ会える女の子。

祖父母が他界し、家を受け継いで引っ越してきてから再び会う事が出来た。白い肌の女の子。黒い髪と黒い瞳がよく映えている、姿が変わらない女の子。

彼女は自分を雪女だと言った。冬の間だけ里に降りてこられるのだと言っていた。
実際はわからない。本当は同じ子じゃないのかもしれない。
雪女伝説がこの地にあるなんて話は聞いた事無いし、彼女は暖かい部屋で一緒に過ごす事だって出来る。
炬燵がお気に入りで、きつねの鍋焼きうどんが好きなんだ。
雪が降ると現れて、いつも薄着だから俺の服を貸す。
一緒に遊んで過ごし、冬が終わる頃に「またね」と言って去っていく。

鍋の蓋がぐつぐつと音を立てて、蒸気が吹きこぼれた。
慌ててコンロに戻り火を止めた。蓋を取ると蒸気がモワッと上がり目の前を真っ白に染める。
甘じょっぱいつゆの匂いが食欲を掻き立てた。

「少し…早過ぎたかな」

隣に置かれたうどんの入って居ない土鍋に目をやる。具材は煮たってくたくたになっている。大きなお揚げが存在感を放っていた。

俺は用意して置いた鍋敷きの上に作った鍋焼きうどんを乗せ、炬燵に足を入れた。
しっかりあったまった炬燵の中で、冷えた足がじんわりと温まっていく。
カーテンは少しだけ開けてある。隙間から見える窓の外、風と共に白い綿が浮かんでいる様に見えた。

雪が降ると現れる白い女の子。
今年もそろそろ来る頃だろうか。


#雪を待つ

12/15/2023, 4:27:13 AM

クリスマスが近づいてきた。街中は電飾で飾られ、大きなツリーがあちらこちらに出現する。
彼女は何度も見ているこの景色を、今日もキラキラと輝いた目で見つめながら「綺麗だね」と言って笑った。

「今年はどんなクリスマスにしようか」

僕の問いに彼女は柔らかく笑う。

「2人で過ごせる最後のクリスマスだから、特別な物にしたいな。一生の中で思い返した時にふと頭に浮かぶような。何処かへ行こうとか、豪華なご馳走とか、そういうのは要らないから…ただ、2人でゆっくり過ごしたい」

そう言うと自分のお腹に手を当てて、愛おしそうに目を細めた。

「そうだね。最高のものにしよう。でも…ケーキは食べても良いよね?」
「3丁目のケーキ屋さんで今年も予約しないとね」
「サンタの乗った一番小さいやつを」

今年は2人で過ごす最後のクリスマス。特別な夜になるだろう。他愛無い話をしながら未来を語り、いつもより少し高級な料理とお気に入りのケーキ屋さんで買った小さなクリスマスケーキを食べよう。
砂糖で作られたサンタクロースを、今年は蝋燭の火で焦がさないようにしないとな。

そして来年のクリスマスの話をしよう。木が早いと言われるだろうか。だけど僕はもう楽しみで仕方ないんだよ。
きっと来年のクリスマスは今年よりも特別な物になると思う。だって家族3人で過ごす、初めてのクリスマスになるのだから。

#イルミネーション

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