香音

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7/23/2024, 7:32:54 PM


        私は何かと尋ねる時  
        確かに存在していた
        強く吹く向かい風に
        負けるもんかと鳴く
        揺れていたあの日に
        咲いていた私は星に
        ひとつ願いをかけた 
        幸せを教えて下さい
        喜びを教えて下さい
        天ばかりを見ていた
        ぽつりと降った雨は
        優しく濡らした私を
        ひとりではなかった
        それは足元にあった
        大地と繋がっていた

        
           『花咲いて』

7/23/2024, 1:52:13 AM



    ラグジュアリーな雰囲気でお願い
    すこしだけシートには拘りたいの
    駄目にしないくらいのふかふかで
    ちなみに人数に制限はありますか
    あの人もこの人も誘ってみたいの
    こんな経験はなかなかないでしょ
    食事は特にこだわりはないですよ
    あるのは牡蠣のアレルギーくらい
    メインのお料理はお魚がいいわね
    オールインクルーシブだとしたら
    一人あたりおいくらになるかしら
    

   『もしもタイムマシンがあったなら』

7/21/2024, 11:13:26 PM


       聖なる名前のその中に
       母なる音色のA Iがある
       扇風機の前で声を出す
       笑ったキミを思い出す
       予報にはない雨が降る
       庭の花々が揺れている
       陽の光りが差している
       遠くにある虹を探して
       エアコンが効いた車内
       エスプーマのふわふわ
       かき氷が恋しくなった


       『今一番欲しいもの』

7/18/2024, 10:43:10 PM

      
       星に生まれた子ども達
       似ているようで異なる
       得意分野はそれぞれに
       ひとつの物語を繋いで
       いくつもの時を駆けて
       成熟しているオトナは
       怖がらせたりはしない
       傷つけることをしない
       人の痛みを知っている
       私たちが生まれる意味
       何処へ向かっているの
       蒔いた種は育ってゆく
       どんな花を咲かせるの
       何千年もの旅の果てに
       私だけ、のストーリー


            『私だけ』

7/18/2024, 1:58:29 AM


      ひも、と呼んでいたそれを
      片時も離さなかったらしい
      あれがないと泣くんだって
      それでは見た目が悪いから
      困り果てた大きな人は私に
      着物の切れ端で丁寧に作り
      持たせたけど違うんだって
      あれがないと泣くんだって
      どうにかこうにかなだめて
      持たせたんだ大変だったと
      聞いた時にも側にはあった
      中学生になる頃に母が言う
      もう子供じゃないんだよと
      部活から帰宅した日のこと
      ひも、は捨てたと母が言う
      その日からひとりになった
      寂しい気持ちはあったけど
      もう子供じゃないのだから
      何年も過ぎてから母が言う
      実は捨ててはいなかったと
      駄目なら渡すつもりだった
      お母さんの作戦成功したわ
      嬉しそうに笑っていたから
      風鈴が涼やかな音で鳴った
      吹く風は花の香りがしてる
         

          『遠い日の記憶』

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