ひも、と呼んでいたそれを
片時も離さなかったらしい
あれがないと泣くんだって
それでは見た目が悪いから
困り果てた大きな人は私に
着物の切れ端で丁寧に作り
持たせたけど違うんだって
あれがないと泣くんだって
どうにかこうにかなだめて
持たせたんだ大変だったと
聞いた時にも側にはあった
中学生になる頃に母が言う
もう子供じゃないんだよと
部活から帰宅した日のこと
ひも、は捨てたと母が言う
その日からひとりになった
寂しい気持ちはあったけど
もう子供じゃないのだから
何年も過ぎてから母が言う
実は捨ててはいなかったと
駄目なら渡すつもりだった
お母さんの作戦成功したわ
嬉しそうに笑っていたから
風鈴が涼やかな音で鳴った
吹く風は花の香りがしてる
『遠い日の記憶』
ステンドグラスの光
珈琲に溶けた虹の色
いつか見たサヨナラ
キミは青色に染まる
寂しくなんかないさ
この場所も悪くない
ボクの強がりは顕在
運命の輪がカチリと
音を立てた覚えてる
煙草を燻らす横顔は
似合ってはいないよ
切り取られた景色に
キミの姿はそのまま
愛は見つかったかい
眩しいくらいの空は
小さな声で囁くんだ
いつもいつもいつも
『空を見上げて心に浮かんだこと』
ちいさくておおきな
どれくらいはいるの
しらないわからない
とりあえずつめこむ
もういっぱいなのに
ここからはみえない
くるしくなるまえに
とりださなければと
わかってはいるのに
もうやめたらいいよ
どこからかきこえる
やめたくないんだと
どこからかきこえる
ちいさくておおきな
ゆとりがうまれたら
ふわりととべるのに
『終わりにしよう』
肩書きも地位も外して
年齢も性別も遠く遠く
時は生まれる前に遡る
海を越えて空を越えて
私たちはひとつだった
光を知るには闇を知る
分離された世界を見る
大切を探す旅の始まり
自分を見つける心の旅
道は続くよ秘密の鍵は
気分が運命を左右する
不自由で自由な場所で
愛する人に会えたかい
君を待ってる人がいる
『手を取り合って』
君が泣いた夜のこと
あの丘の花が咲いた
幾つもの星が流れた
誰かが祈った願い星
人生は続いてゆくよ
たったひとつの物語
繋いで生まれてきた
頁をめくる優しくね
この星で見る景色は
どんな色をしてるの
あの丘の花が揺れた
君が種を蒔いている
大きな木が見ている
『優越感、劣等感』