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11/22/2023, 11:21:03 AM

【夫婦】

若い二人は夫婦になった
二人はお互いを愛し合い
穏やかな人たちと仕事をして
生活に困らないくらいのお金を得て
休みの日には二人で出かけて
幸せに暮らしていた

けれど、夫婦には子供ができなかった
あなたとの子供が欲しいのにと妻は泣いた
それを聞いた夫は
君が居ればそれだけでいいと伝えた

若い二人は歳を取り、老夫婦となった
子供に恵まれることはなかったけれど
二人は今も人々が羨むほどに仲が良い
今日も手を繋いで散歩をしている
まだ誰も居ない早朝
優しい朝の光に照らされた道を
二人きりで歩くことが
この夫婦は大好きなのだ

今日もあなたと私だけしか歩いてませんねえ、と妻が言う
それを聞いて、君が居ればそれだけでいい、と夫は答えた
妻は笑顔で、私もあなたが居ればそれだけで幸せですよ、と返した

11/21/2023, 11:44:28 AM

【どうすればいいの?】

「助けて」という言葉さえ口に出すのをやめたのは
一体いつからだろう
どうすることもできやしないと諦めたのは
一体いつからだろう

全然大丈夫じゃないのに「大丈夫」と言って笑うようになったのは
一体いつからだろう
どうすることも出来ないとただ膝を抱えて蹲るようになったのは
一体いつからだろう

助けてほしいと言っても、誰も助けてくれることはなかった
どんなに踠いても、何かが変わることはなかった
大丈夫じゃなくても、「大丈夫」と言って笑えばみんなが安心した
独りになった時、膝を抱えて蹲ってただただ自分の苦しみについて考えた

確かに、時間が解決してくれることもあるだろう
だけどその時間が流れている間
僕はずっと不安の海に溺れているのだ
そして、時間が全てのことを解決してくれるわけじゃない
時間が経つにつれて取り返しがつかなくなることだってある

こうして苦しんでいる間にも時間は流れ
僕はまた、不安の海に堕ちて沈み込んでいく
誰も救ってくれないくせに
みんな心配してるような顔をして
僕が無理に笑えば喜んで
安全で楽しい船の上から
僕が溺れていることすら知らずに
笑って手を振っている

誰かに期待するのはとっくにやめた
けれど、誰も助けてくれないなら
自分でもどうにも出来ないなら
僕は苦しみ続けるしかないの?
僕はこれから、どうすればいいの?

11/20/2023, 10:17:18 AM

【宝物】

わたしの宝物は、おかあさんからもらった小さなゆびわです。
これは、おかあさんが子どものころ、おばあちゃんに買ってもらったゆびわだそうです。
おかあさんの宝物だけど、あなたにあげるねって言って、わたしにくれました。

おかあさんにもらったゆびわは、きらきらした赤い石がついていて、わっかのところも金色でつやつやしています。
このゆびわは、わたしの宝物になりました。
わたしがゆびわをつけてニコニコしていると、おかあさんもニコニコしながら見ていました。

だけどある日、このゆびわはおかあさんの宝物と言っていたのに、どうしてわたしにくれたのか、ふしぎに思いました。
わたしがおかあさんの宝物を、本当にもらってよかったのかなって思いました。
だから勇気を出して、おかあさんに聞いてみました。
そうしたらおかあさんは、
「おかあさんの宝物はあなただから、あなたのためなら、どんな宝物でもよろこんであげるよ」
と言って笑いました。

……あれから十年ほど経ち、私は高校生になりました。
今でもあの指輪は私の宝物です。
幼い子供にしか使えないようなデザインですが、ジュエリーボックスの中に大事に仕舞ってあります。
時々取り出して眺めては、母に指輪をもらった時のことを思い出しています。
確かにこの指輪は私の宝物ですが、成長するうちにもっと大事なものに気付きました。
子供の頃から大事にしていた指輪も、私が喜ぶならと渡してくれた母のことです。
母はいつも私の味方でいてくれて、いつも私のためを思って行動してくれます。
私の一番大事な宝物は、優しい母です。

11/19/2023, 10:59:56 AM

【キャンドル】

薄暗い部屋の中でゆらゆら揺れる炎を見つめていると、あなたの優しさを思い出します。
ほんのりと温かく、そっと寄り添ってくれるような優しさには何度も癒されました。

けれど、それももう過去のこと。
あなたと会うことは二度とないのです。
一緒に過ごした時間は、確かにかけがえのないものでした。
それでも私は、あなたと別の道を行かなければなりません。

あなたは、またどこかで、私以外の誰かに優しく接しているでしょう。
私がそれを知ることはないけれど、でも。
その儚い炎のような優しさは、消えていないと信じています。
それでも私にとっては、触れられないのならば消えたようなもの。
触れることもできないのに、あなたの優しさのような炎がゆらゆら目の前で揺れているくらいなら。
どうかせめて、私の吐息で消させてください。

ふうっと息を吹きかけ、炎を吹き消します。
たった一つの灯さえも失って、部屋は真っ暗になりました。

闇の中で、私は本当に独りになりました。
あなたと同じ時間を過ごすことはもうないけれど、どうやってもあなたの存在は忘れられません。
きっと、私があなたの優しさを忘れることも出来ないでしょう。
だけどあなたの優しさに私が触れることは、やはり永遠にないのです。

さようなら、優しいあなた。
ありがとう、優しいあなた。
暗闇の中でたった独り、あなたの優しさをそっと思い出しながら。

11/18/2023, 12:43:09 PM

【たくさんの思い出】

私にはたくさんの思い出がある
けれどほとんどが辛い思い出だ
楽しいことも嬉しいこともあったけれど
そんなものが霞んでしまうくらいに
現状が良くなるよう努力もした、工夫もした
それなのにいつも辛い目に遭っていた
ついに、効果を信じてもいないのにお祓いにも行った
けれどそれすら無駄だった

これからたくさんの良い思い出を作りたい
今までの辛い思い出が霞んでしまうくらいに
無駄だった努力も工夫も
いつかたくさんの良い思い出に繋がるように祈りながら
私は今日も努力する
その一環で、こうして新しくアプリをインストールして
自分磨きのために文を書く

そしていつか、今日のことを思い出すのだ
今日こうして文を書いていることが
未来の私にとっての良い思い出の一つとして
残っていればいいなと思う

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