あ、すみません
餃子に あ、餃子はニンニクマシマシで
後、チャーハンと
卵スープで。
昨日は寿司を食べた
やっぱり、日本食もいいけど
またには コッテリも 食べたいよな
コッテリって言えば 焼肉とか
トンカツか! やっぱり唐揚げ…
あ、すみません 唐揚げ追加で!
この世界が明日終わるって時に
最後に何食べたい?って
聞かれたら やっぱりカレーかな
俺、カレーにチーズ入れて食うのが
一番好きなんだよね
カレーにチーズがあれば
もう 何もいらない
あ、すみません
春巻きと杏仁豆腐 お願いします
… あ〜 明日は 久しぶりに
おでんとかいいな〜
# 何もいらない
もしも未来を見れるなら
見て頂けませんか?
私、結婚できます?
予約もせずに
俺の店に女が駆け込んできた
身なりは、まだまともか…
頭の先から 爪の先まで女を見る
髪の色が派手
化粧が古臭く 口紅が顔に合っていない
つけている口紅が派手すぎだ
ワンピースは悪くないが
何度も着回しているのだろう
少し くたびれ感がある
「で、どうです?
私、結婚したいんです 今年中に」
今年中… 相手がいないのに今年中とは
考えればムリだとわかるはずなのだが…
『今年中ですか…』
机に出した女の手のひらは
カサカサして潤いがない
『生年月日と名前を書いて頂けますか?』
そう言って渡した紙とペンを持つ指に
光る指輪… イミテーションか…
カバンはエルメス…
これも どうせ偽物だろう
『そうですね
今年、あなたが出会う人とは
いい縁がありそうです
期待してよろしいですよ』
そう告げると 彼女は笑を浮かべ
店を後にした
運勢は本当に悪くない手相だったが
あれじゃ、ムリだな…
女としてもっと努力と気遣いをしないと
結婚なんてムリだろう
最近、俺の運勢は悪くない
未来が見える占い師って名前をつけてから 評判がいい
売り上げだって伸びてきている
ああいう女に 希望ある言葉を伝え
また来てもらえばいい
今年の俺の運勢はまだまだ上がる
さぁ、今日は店を閉めて飲みにでも行くか!!
… … … プロデューサーいかがでしたか?
最近 街で評判の占い師です
テレビ出演 オファーしますか?
「 ダメダメ!
あいつに未来なんて見えやしない
人を見た目で判断して 適当な事言って
調子乗って…
…来年、悪徳占い師特集で出そうか」
#もしも未来を見れるなら
君と出会い
世界は色鮮やかだと教えてくれた
春の桜は薄ピンクの花びらが舞い
夏の海は柔らかな青のさざ波を作り
秋の紅葉は鮮やかな赤を彩り
冬の雪は白く街を染める
僕には 眩しくて仕方がない
僕は、今まで無色の世界に生きていたのかと思うくらい
今は鮮明に色鮮やかに見える
「パパ!
違う うさぎさんは 緑なの!」
『え? 緑?… 白じゃないの?
…せめてピンクとかさ…』
娘の遊びに付き合わされて
塗り絵をしていたのだが
娘は、個性的な色使いが好みの様だ
「まだ、4歳よ? 好きな色でいいわよ」
妻が 笑顔で塗り絵を覗き込む
そりゃ、そうだけど…
緑のうさぎに 赤の蛇… 黄色のパンダ
娘は、いつか 色彩豊かな画伯に
なるかも知れないな…
#無色の世界
校庭の桜が散る
離れ離れになる僕たちは
たとえ 逢えなくても 気持ちは変わらないと誓い合った
初めてのキスは あの桜の下
「思ってたより、鼻は邪魔にならないのね」と彼女は、はにかんだ
僕の方が緊張して、唇が乾いていた
のを覚えている
夏休みになれば 逢えるよね?と
彼女がいい 逢いに行くよと
僕が言った
だが、その夏 僕は逢いに行かなかった
まるで お決まりのドラマの様に
別れの歌の歌詞の様に
新しい環境の中で
彼女との記憶を薄れさせた
忙しいという 都合のいい言い訳を
使って 連絡を取らなくなり
自然消滅と言う僕にとって身勝手な
方法を選んだ
夏が終わる頃 君からの連絡もなくなり、新しい生活の中で君も僕を忘れて
いるのだろうと思い込もうとした
冬の終わり
君が病気だという噂を聞く
それでも、僕は連絡が出来ずにいた
君を裏切った僕に逢う資格などないと
会わない言い訳ばかり探していた
桜が散る
二度と逢えない君に
謝りたくても もう逢えない君に
もう一度 逢いたかった
僕を許さないで欲しい
桜が散る度 思うだろう
少し頬を染め はにかむ君を
彼とは上手くいっていた
誕生日には プロポーズを受けていた
誰よりも早く、希望の就職先に
内定をもらい 人生を謳歌していた
あの会社に入るまで…
眠れない 食べられない
課長から名前を呼ばれる度
吐き気がした
お前はダメな人間だ
クソみたいな女だ
毎日罵倒され
山の様に資料を作らされ
残業しても 眠らずに作っても
やり直し…
ちゃんと出来ないお前が悪いと
同期はちゃんと出来ているのに
バカな女は 簡単な資料さえできないと
罵られる
入社して半年もせず、体重は10キロ以上
痩せ 常に頭痛と吐き気 耳鳴りがしていた
彼にも親にも心配をかけたくなかった
もう 限界だった
ここではない、どこかで生きたかった
会社の屋上から見下ろすと
車や人がまるでおもちゃみたいに見えた
柵に手をかけ、乗り越え様とした時
…目が覚めた。
汗だらけで、叫びながら私は飛び起きた
彼も驚いた様に起き上がり
私を抱きしめた
大丈夫、もう大丈夫だから
仕事なんか辞めていいんだよ
人生一度しかない、
苦しんで生きなくていいんだ
そして、私は 仕事を辞めた
課長から逃げたのかも知れないが
人生、逃げるが勝ちもあるのだ
ここではない、どこかで 生きたいと
願い いま、私は ここで 生きたいと
思える場所に辿り着いた
家族と 笑顔で生きる場所に
#ここではない、どこかで