彼の心はどこまでも透明で、
それでいて重たく、深く、どす黒かった。
わたしが泣いているときに
つまらないギャグで笑わせようとしない、
気の利いたことを言えるあなただったら。
自分が失敗してしまったときに
長いこと落ち込んでしまわない、
こころの強いあなただったら。
わたしの友達に街で偶然出会ったときに
人見知りだからといってオドオドしない、
さわやか好青年なあなただったら。
それはもう、あなたじゃないね。
それならわたし、このままでいい。
入院しているはずの爺ちゃんが実家に帰ってきた。
様々な管が体内に侵入し、皮膚に纏わりついていた
はずなのに、すべて取れて爺ちゃんは元気そうだった。
「爺ちゃん!何でいるん!元気なったん!?」
と聞いても、爺ちゃんは何も言わない。
驚いて目を見開いた俺の顔がおかしかったのか、
爺ちゃんはいつもみたいに上を向いて、
大口を開けて黄ばんだ歯を見せながら笑うけれど、
あの大きな笑い声は聞こえなかった。
ひとしきり笑い終わった爺ちゃんは、
俺が小さかった時みたいに
俺の頭に皺まみれの手をぽんぽんと乗せた。
俺も爺ちゃんのつるぴかの禿げ頭に手を乗せて
ぽんぽんとしてやろうと思ったけれど、
爺ちゃんは「じゃあな」と言うように手を上げて、
どこかへ向かってしまった。
目を覚ますと、僕は泣いていた。
ぽろぽろぽろぽろ泣いていた。
僕が目覚める30分前、
爺ちゃんはどこかへ向かっていった。
これは、とある爺と婆が紡ぐ、百年の恋物語。
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