NoShame

Open App

入院しているはずの爺ちゃんが実家に帰ってきた。
様々な管が体内に侵入し、皮膚に纏わりついていた
はずなのに、すべて取れて爺ちゃんは元気そうだった。

「爺ちゃん!何でいるん!元気なったん!?」
と聞いても、爺ちゃんは何も言わない。

驚いて目を見開いた俺の顔がおかしかったのか、
爺ちゃんはいつもみたいに上を向いて、
大口を開けて黄ばんだ歯を見せながら笑うけれど、
あの大きな笑い声は聞こえなかった。

ひとしきり笑い終わった爺ちゃんは、
俺が小さかった時みたいに
俺の頭に皺まみれの手をぽんぽんと乗せた。

俺も爺ちゃんのつるぴかの禿げ頭に手を乗せて
ぽんぽんとしてやろうと思ったけれど、
爺ちゃんは「じゃあな」と言うように手を上げて、
どこかへ向かってしまった。



目を覚ますと、僕は泣いていた。
ぽろぽろぽろぽろ泣いていた。
僕が目覚める30分前、
爺ちゃんはどこかへ向かっていった。

5/19/2026, 11:05:19 AM