「今日は何曜日ですか?」
「今日は...日曜日だと思います」
「はい。今日のテストは終わりね」
「ありがとうございました」
朝の8:00、私の朝食が運ばれると共に5の質問をされる
高校2年生の春、私は事故にあった
幸い命は助かったものの、脳に障害が残ってしまった
先生が言うには、直ぐに物事を忘れてしまう
ことみたい
だから毎朝、今日は何曜日とか昨日の夕飯はとかの質問をされる
病院生活は楽しくない
高校生だから病室も大人のいるところ
同じくらいの歳の子もいないし、かと言って毎日スマホばっかり見てると病院の人に怒られるし...
勉強はちゃんとしている
学校から特別に出された課題も終わっている
...確か
毎日、宿題やったっけと確認をしている
「はぁ。どっか行こ」
今日はいつも以上に食欲もわかないので、こっそり病室を抜け出すことにした
と言っても...行く場所は病院の屋外
「はぁ。」
本日何回目か分からないため息を履いて外の景色を見る
下を見ると、病院に行く人やこの近くにある駅に走っていく人の姿などが見える
「私も...もっと自由に生きたい」
本当だったら今は学校に行っている
高校生だから青春とかしたかったけど...
病院の先生は「もしかしたら、急に記憶が全部無くなることがあるかも」
と言う。
きっと私はずっとこの生活なのだなとその時思った
「はぁ。」
またため息をひとつ
「あ!みなみちゃん!勝手に外に行ったらダメでしょ」
「...え?そうなんですか?」
「そうなんだよ…前も言ったんだけどね…」
「私、、、覚えてない…です…」
「そっか…、よし、病室戻ろっか」
「…はーい」
きっと明日も...私は演技をし続けるんだ
君は突然やってきた
ある夏の日の朝
俺は散歩をしていた
俺が住んでいるのは田んぼが広がる場所
朝歩いても、昼歩いても、夜歩いても、あまり人に合わない
この辺の空気は美味しい
この辺の人は優しい
ここに住んでると、毎日が楽に生きられる
東京にいた時は、毎日が最悪で、生きてても無駄だと思ってた
けど、案外そうでもなかった
こうやってのんびり散歩してるのも、他から見たら無駄かもしれないけど、俺にとっては全然無駄なことでは無い
「はぁ…最高だな」
「にゃー」
「だよなぁ。前までは人のためにしか生きてけれないと思ってたけど、ここは自分のために、自由に生きられる」
「にゃー」
「だよなぁ……
あ?」
「にゃー、にゃー」
「え、猫!?」
お、俺は今、猫と話してたのか…?
見かけたことの無い猫だなぁ…
野良猫っぽいけど、毛の色は綺麗な白
まるで、手入れをされてる猫みたいだった
「にゃー」
すると猫が歩き出した
俺は、その猫が気になって着いて行った
トコトコ
トコトコ
トコトコ
猫はたまに、後ろを向いて俺が来ているかを確認している
トコトコ
トコトコ
トコトコ
…
どれくらい歩いたのだろうか
ふと、周りを見渡してみると
「え、俺の家?」
「にゃー、にゃー」
猫は俺の家の玄関の前で座った
まるで、家に入れろと言ってるようだった
突然やってきた君と始まった新しい生活
人生、何が起こるか分からない
君はそう、僕に教えてくれたんだ
END