君は突然やってきた
ある夏の日の朝
俺は散歩をしていた
俺が住んでいるのは田んぼが広がる場所
朝歩いても、昼歩いても、夜歩いても、あまり人に合わない
この辺の空気は美味しい
この辺の人は優しい
ここに住んでると、毎日が楽に生きられる
東京にいた時は、毎日が最悪で、生きてても無駄だと思ってた
けど、案外そうでもなかった
こうやってのんびり散歩してるのも、他から見たら無駄かもしれないけど、俺にとっては全然無駄なことでは無い
「はぁ…最高だな」
「にゃー」
「だよなぁ。前までは人のためにしか生きてけれないと思ってたけど、ここは自分のために、自由に生きられる」
「にゃー」
「だよなぁ……
あ?」
「にゃー、にゃー」
「え、猫!?」
お、俺は今、猫と話してたのか…?
見かけたことの無い猫だなぁ…
野良猫っぽいけど、毛の色は綺麗な白
まるで、手入れをされてる猫みたいだった
「にゃー」
すると猫が歩き出した
俺は、その猫が気になって着いて行った
トコトコ
トコトコ
トコトコ
猫はたまに、後ろを向いて俺が来ているかを確認している
トコトコ
トコトコ
トコトコ
…
どれくらい歩いたのだろうか
ふと、周りを見渡してみると
「え、俺の家?」
「にゃー、にゃー」
猫は俺の家の玄関の前で座った
まるで、家に入れろと言ってるようだった
突然やってきた君と始まった新しい生活
人生、何が起こるか分からない
君はそう、僕に教えてくれたんだ
END
8/28/2023, 4:22:03 PM