4/22/2023, 11:44:48 PM
『それは消せない』
哀しみの毛布の中 心だけが泣いている 羽根を広げるのは今じゃない 鶫が私にそう告げた 消しゴムの消しかすばかりが増えてくよ 消えない消えない消えない 消えないじゃなくて消せないんだ そう気づいた朝 鶫は既にいなかった もう春なのにあの子は口を噤んだままだ
4/21/2023, 3:15:36 PM
『雫の聲』
方舟は水煙の中消えてしまった 貝殻は海を記憶する
幼いあの日、洞窟に隠れて雫の聲を聞いた 等間隔の落水は私の心の安寧だ 時間の存在を忘れて現実と距離を置く 遠くから『おーい』と呼ぶ声がする そう思った瞬間 私は糸巻きのように現実と距離を縮めた
来年は着れないワンピース もうすぐ潮が満ちる
4/21/2023, 4:07:40 AM
『速達郵便』
私は名前がまだなくて 速達郵便届かない 丸くて茶色いのテーブルにカフェオレ意外何も無い カレンダーに印しをつけてとある日を待ち望む 他人のSNSを覗くたびにカフェオレを少しこぼす ローマは一日にして成らず スマホの通知は今日も鳴らず
4/19/2023, 2:48:47 PM
『突き指』
未来を見たくて駆け足してたら 突き指をしたのです
行き先を示す指先が疼いてしゃがみ込む 考える時間がほしい考える時間がほしい 現実はさもしいそういう私もあさましい ファミリーレストランを横切って
今を生きる今を生きる
4/18/2023, 2:50:30 PM
『無色透明』
眠れない夜 君を連れて車を走らそう 心地良い感覚刺激で君は眠りにつく ちょっとだけ開けた窓から
霧雨が君に降り注ぐ たまたまついてたラジオの曲は他愛がなくてなんか笑えた 君はまだ起きない 朝はまだ遠く遠い場所にある