7/31/2023, 1:49:27 PM
他人より不器用に生きて
下手くそに息をして
溺れかけている
繕わなければ『普通』を保てない
陸の魚
深夜二時過ぎの静寂がやさしく背中を撫でる
漸く呼吸が出来たと 深呼吸をして
月へ昇る泡を見つめた
7/30/2023, 12:03:37 PM
空を映すビー玉のような
海を閉じ込めたガラス鉢のような
当たり前の如く甘えてくる子猫のような
生まれたばかりの魂のように
キラキラした星のヒトカケラを拾い上げ
フゥーッと息を吹き込んで
紺色のビロードが拡がる空へ送り出す
嘘つきな僕には手に余る
軌跡を描きながら彼方へ飛んでゆく
君を眺めながら目を細めた
7/30/2023, 10:10:13 AM
この夜の向こう側に辿り着ける頃には
この嵐も泣き止むのでしょうか
額に滲む汗も
痛いほど胸を打ち続ける動悸も
鳴りやむことの無い耳鳴りも
全て消し去ってくれるほどの
優しい雨雲が覆い尽くしてくれるというのならば
嵐の夜も悪くはないのでしょう
7/29/2023, 6:31:31 AM
色とりどりの飴屋が並ぶ
面を被った店主が おいでおいでと手招きをした
ゆらゆらと昇りゆく
一面を埋め尽くす提灯たちが照らし出すのは
空を泳ぐ巨大な黒い鯨
ビードロを吹きながらはしゃぐ童たちの上を
ボゥーと、低い鳴き声をあげて
ゆっくりと凪がれていく
どこかで見たような
何か大切なものを忘れてしまっているような
そんな郷愁が、一陣の風となって
夜市を裸足で駆け抜けていった
7/27/2023, 7:45:33 PM
八百万の神々の 詔を賜ると
我こそが御使いぞと
八百万の民草もまた 口を揃えて宣った
信仰といふ偶像は 幾多数多の祈りを糧に
那由多の彼方まで膨らんで
それは光であり それは深淵でもあった
救いの手を求める者
されど畏怖の対象となる者
古今東西 移ろえど変わらず
その心見えず
己が心すらも見失う